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タンポポ姫の恋の処方箋   作者: rokoroko
134/199

134.バーベキューを食べよう

 翌朝、朝早くに『魚介類屋』に注文しておいた魚介類が、たっぷり届いた。

 注文数を間違っているんじゃないの?と、思うくらいの量だった。

 

(まぁ、注文したのが、あのアンリだからね。自分が満足するまで食べるつもりで注文したに違いなかった。どうせお支払いは、テリィだものね。)


 魚介類を届けてくれたのは、魚介類屋の孫娘のチャルチ 、その旦那さんのグバックだった。


「朝早くから、ありがとうございます」

「おはようございます。今日はよろしくお願いいたします」

「昨日のバーベキューのお店を出したいと言う気持ちは、変わりませんか?」


 アンジュが昨日のチャルチの申し出を、再び確認する。

 お店を開くって大変だからね。覚悟は聞いて、おきたかった。


「はい。昨日初めて食べたバーベキューの味が、忘れなくて。食材はうちの魚介類なのに、あんなに美味しくなるなんて驚きでした。それにラートピオの街に、海の幸をあんな風に美味しく食べさせるお店はありませんから、ぜひみなさんにバーベキューを食べて戴いて、美味しいと思った方に、お土産として魚介類を買って帰ってもらえたら最高だと思いまして」

「そうですか。今日は私たちがミエリッハ領で過ごす最後の日なので、昼食にミエリッハ子爵家の方たちに、バーベキューを振る舞おうと思っています。なのでお二人とも、その下準備から手伝ってみませんか?その方がお店を開く上で、きっと役に立つと思いますよ」

「はい、ぜひお願いいたします」


 と言うことで、チャルチ とグバックを連れ、護衛にトーイ(役に立つのかな?)を連れて、ミエリッハ家の厨房へと向かう。

 今日の昼食はバーベキューにすると、すでに料理長のコニンスたちには伝えてあった。


「今日の食材が届きました。今からどんどん運び込まれてきますから、下処理をお願いしますね」

「「「「「はい、アンジュ様」」」」」


 料理人たちの声を揃えての返事に、何故かここに来た当初彼らに鼻で笑われたことを思い出した。

 短期間でずいぶん彼らの態度が、変わったなぁと思う。


「この方たちは本日の食材を持って来て下さった方たちですが、下準備を手伝って戴きます。よろしくお願いしますね」

「「「「「はい、よろしくお願いします」」」」」


(な、なんだ。この従順さは?そう言えばこの中の2人は、いっしょに王都に行くんだよね。)


 まだ誰に決まったのか聞いていないが、この中の2人であることは確かだった。

 アンジュはレシピ提供者だし、これでも一応料理の先生だからね。

 6ヵ月交代と言えども教えを乞う立場なのだから、アンジュへの態度が変わるのも当たり前だった。


(まぁ、良い心がけだと思うよ。がんばってね。)


 魚介類の下処理は料理人たちと、チャルチ とグバックに任せて、アンジュはバーベキューソースを作ることにする。


 今日は魚介類だけでなく、肉や野菜も一緒に焼くことにした。

 なので前世で良く作った焼肉のたれも、作っておく。

 魚介類には酢醤油もあうので、ぽんずも作っておいた。


 もちろんトーイにマヨネーズも、作ってもらう。

 トーイもアンリに習い、マヨネーズが作れるアンジュの助手兼、お目付け役兼、護衛となっていた。


(凄いでしょ。トーイはマヨネーズの作れる、助手なのです。)

 

 すべての用意を終えると、昼食の時間の少し前だった。


 今日の昼食は、庭に用意させてもらっていた。

 チャルチ とグバックとは会場で会うことにして、アンジュは着替えに部屋に戻る。

 ここからは護衛をトーイから、エルに変わった。

 トーイには会場の方へ先に行っていてもらった。


(女性の支度には、時間がかかるのです。)


 なんてぐずぐずしては、いられなかった。


「姫様、急ぎご用意ください」

「はーい、遅くなってごめんなさい」

「今日もがんばってくださったのでしょう?昼食が楽しみですね」

「はい、とても美味しいと思いますよ」

「早く、行きましょう。私はもう待ちきれません」

「はいはい。すぐに支度しますね」


 いつも大人しく食への関心など無さそうなエルが、珍しくアンジュを急かす。

 先日食べたバーベキューを気に入って、待ちきれないようだった。


(先日のバーベキューも、美味しかったものね。今日も美味しいと思うよ)


 エルに急かされながら用意をすますと、会場へと向かう。

 すでに炭には火が入っていて、すぐに焼きはじめられる状態だった。

 アンジュが顔を見せるとそれを合図のように、魚介類が網の上に並べられる。野菜や肉も、焼かれ始めた。


「アンジュ様、今日は何を食べさせていただけるの?」

「今日はバーベキューを、ご用意いたしました。美味しいですよ」

「バーベキュー?」

「はい・・・・・」

 

 アンジュが説明するよりも先に、辺りには魚介類が焼ける良い匂いが漂ってきた。

 レレミアの鼻がクンクンと、動く。食欲をそそる香りに、彼女のお腹がぐっ!と鳴った。(良い匂いだよね。解るよ、うん。)


「もうすぐ焼けると思いますから、もう少しお待ち下さいね」


 魚介類が焼ける前に、みんなに飲み物が配られる。

 やはりバーベキューと言えば、エールだった。


 みんながエールを受け取ったのを確認すると、

「今回は突然の訪問にも拘らず、ミエリッハ子爵家のものたちに歓迎してもらい感謝する。本日はそのお礼と言っては何だが、私の婚約者アンジュが用意したので、みんなしっかり食べて欲しい。では、フランドール公国に、栄光あれ!」

「「「「「フランドール公国に、栄光あれ!」」」」」 


 テリュースの乾杯の合図で、昼食が始まった。


 ちょうど網の上の食材も、食べごろに焼けている。

 ほとんどの人はバーベキューなど初めてのことなのに、みな楽しそうに歓談しながら食事を始めていた。


「美味しい」

「何これ?美味しい。楽しいし、エールが進むわ」

「この貝、味がついていて美味しい。この味も初めてだわ」

「それは醤油で、味付けています」

「ショーユ?ほんと美味しいわね」


 ミエリッハ子爵家の方たちにも、バーベキューは高評だった。


 チャルチ とグバックは何処に居るのかと確認すると、昨日魚介類屋で一度顔合わせをしているせいか、アンリやトーイと歓談していた。

 トゥーリも魚介類に舌鼓を打ちながら、話に加わっている。

 遠目で良く解らないが、盛り上がっているように見えた。


 バーベキューのお店、出来るといいな。


 海の幸、最高!バーベキュー、最高!

 

読んで戴きありがとうございました。

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