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タンポポ姫の恋の処方箋   作者: rokoroko
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1.プロローグ

初投稿です。

読みに来ていただきありがとうございます。

どうぞよろしくお願いいたします。

 プロローグ  


 人生、何が起こるか解らない。事実は小説よりも奇なり?一寸先は闇とはよく言ったものだと思う。


「うそ!  私、ここで死んじゃうわけ?」


 まさか自分の死の瞬間が、こんなにも早くに訪れるとは・・・・・・?

 ほんとびっくりなんてものではなかった。


 わたしこと佐藤千尋、24歳、性別女、独身、薬科大学薬学部6年生。

 日本人女性の平均寿命が87.45歳のこの時代、またまだこれから、夢も希望もあったのに・・・・・。


 ----------- ああ、私は死ぬのだ。 


 それだけは、理解していたように思う。


 薄れゆく意識の中、真っ白な靄のようなものに飲み込まれながら、死の間際に強く、強く、最後の瞬間まで願っていたことは・・・・・・。


 若干24歳の身空で、死にゆく自分自身を悲しみ哀れむことではなく。

 ましては、まだ死にたくないとしがみつくような生への執着でもなかった。


 薬科大学薬学部での6年間の大学生活の中で、趣味のアニメや漫画やゲームを封印し、もちろん色恋沙汰などに使う時間などまったくなく(その前に色恋沙汰など、この24年間にお目にかかったことなどないけどね)時に徹夜までして覚え、詰め込み、苦労に苦労を重ねて取得した薬剤師の知識だけは、絶対に失いたくないと強く願っていた。


 だって勿体ないじゃない。

 せっかくがんばって、がんばって、がんばって(あえて3回言おう)、頭に詰め込んだのに、こんなに早く失うなんて、冗談ではない。


 生理学・薬学・医学・看護学・栄養学・・・・・・。

 必修科目がとても多く、年次が上がれば実習なども入ってくるため空きコマが少なく、ぎっちり詰まった時間割。暗記するものが多く、ひたすら脳を酷使する日々。

 暗記・暗記・暗記・暗記・暗記・・・・・・。

 1~4年次は必要な単位を取るために、5,6年次は国家試験に合格するために、ひたすら勉強して、勉強して、勉強して(あえて3度言わせてもらいます)やっと手にした現役での薬剤師資格の取得。


 ・・・・・・・なのに、ここで死んで終わり? 今までの苦労は、水の泡?そんなの理不尽すぎる。 


 何の役にも立たないまま失ってしまうなんて、これでは私も死んでも死にきれない。


 幽霊になって、化けて出てやる。

『幽霊薬剤師・千尋』なんてね。結構、いけているんじゃあない?

 そうだ幽霊になろう。そして薬剤師を続けるのだ。

 でも幽霊ってなろうと思ってなれるものなの?

 たぶん執着が強ければなれるはず。なれたらいいな。なれるかな。


 徐々に白い靄のようなものに包まれながら、わたしの意識はだんだん薄くなって行く。


 --------- 生まれ変わっても、薬剤師になれますように・・・・・・。


 色気も素っ気もないことに、死の瞬間、千尋の最後の願いは、ただそれだけだった。



                ◇◆◇◆◇



 死の間際の千尋の必死とも言える願いを、神様が聞き届けてくれたのかどうかは解らない。

 ただ次の人生?物心ついた時には、中世ヨーロッパを思わせる町並みのフランドール公国に、死の間際切実に願った薬学の知識と一緒に、アンジュ・ド・トゥルースとして転生していた。



読んでいただきありがとうございました。


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