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迷宮の眠り姫は竜騎士の呪いを解く  作者: 鳴田るな
四章:竜姫 騎士と過ごす
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竜 審議中

《仕方ない、緊急審議だ。全員集めたらまた収集がつかなくなる、ひとまずここでローカルな結論を出してみることにしよう》

《そんなにうまく行くかねえ……》

《了承》

《開始前から後ろ向きな姿勢を見せるでないわ》

《オーケー、協力はしますよ。ま、確かに百頭以上集まるよりはまだこの数の方がまとめやすいかもしれない。で? シュナの質問、デュランと仲良くしていいんですか、に対する各々の意見は?》

《推定。伴侶選択。逆鱗選択。同質。故。可》

《反対しまーす、その理論なんか腹立つんで反対しまーす》

《早速荒れる方向に持っていこうとする奴があるか。そうさな……けして悪い男ではない、いやむしろ善き人間と言える部類だとは思うのだが、逆鱗相手としてならともかく、人間の伴侶として良い男か、信頼できるかと言われると、少々躊躇するというか……どうなのだろうな……? 我個人としては、基本的に任せておいて問題ないかと思うが、念押しされると逡巡するという所だ》

《将来性。有。不安要素。有。自分。個人。将来性。期待。結果。好意》

《そりゃ奴がひじょーに優れた竜騎士であることと、人間にもモテるし異性にも当然需要があることはボクだって知ってるよ? でもだからってシュナに合うか、任せていいかっていうと、また別問題なんじゃん?》

《ううむ……》

《迷……》

《なるほど。よしわかった、じゃあ客観的に採点してみよう》

《と言うと?》

《私情を廃して奴の良い点を挙げていってみる。ボクはできる竜だ、テメー許さねえからな後で覚えてろゲージを溜めつつ冷静に褒めてみる》

《ほう。聞こう》

《待機》

《見た目は悪くない。顔もいいしスタイルもいい。腹立つ》

《私情は廃するのではなかったのか》

《ついうっかりてへぺろ。ええと、頭もたぶん悪くな――悪くないって言っていいの、あれ?》

《良い方なのではないか? 時折一周回って馬鹿なのではないかと思うこともあるが》

《同意。論理的思考。読解力。無問題。一部発想力。疑問》

《えーとあれだ、じゃあ少なくとも並以上ではあると言うことにしておこう。で、話が上手い。それと誰とでも話せる》

《相手に話をさせるのが上手いと言えるのだろうな。シュナほどではないがあれもそれなりの質問魔だ》

《それから、概ね健康でしょ。戦闘の心得もあるし、性格も勇敢でいざって時守ってくれるでしょ。んで血統良くて財産持ちでしょ》

《……のう、エゼレクス。案外ファリオンより条件良いのではないか? むしろ欠点ないのではないか?》

《同意》

《ファリオンは助力ありとは言え、自力で意思を持って潜ってきたでしょ! あいつのはただの迷子の結果じゃん! ちゃっかりうっかり逆鱗もらってそのまま物にするような男だぞ!? そんなのにうちの姫様の一生任せて大丈夫なんですか、秩序の頂点様!!》

《う、うむ……そう言われると我も辛い……あと鼻息荒いぞ落ち着け……》

《つーかボクはこのもうヤっちゃったんだから認めるしかないみたいな流れが死ぬほど気に食わんのだよ。既成事実から入るただれた関係なんてお兄さん絶対に許しませんよ。順序踏め順序を。順序踏んでもシュナを連れていく男は許さんけど》

《私情を廃すとは……いやもう何も言うまい。ま、欠点ないし気になる点と言えば、たとえば定期的に発揮する迷子の才能。シュナを巻き添えで変な所に連れ込みはすまいか、恐ろしいな》

《もはや芸術だよね。対策するとしたら誰か見張りをつけるしかない。トラブルメーカーってああいうののこと言うんだよ、ボク知ってる》

《楽天家だからどうにかなると思っておるのだな。それと周囲に甘えている。どうせ最後には助けに来てくれると信じているのだ。温室育ちめ》

《なんだかんだ坊ちゃんで一人っ子だからな。根が暢気だよね。まあ呪いがなかった時代は割とご期待にお応えしていたボクらも、助長の元ではあったんだろうけどね。暢気で思い出した。どこでも寝る、あの神経の図太さはどっから来てるんだろう。長所とも短所とも言いがたいけど》

《ふむ。長所短所度しがたいと言えば、あの異常な飛行適性……》

《一応長所じゃね?》

《長所》

《しかし賞賛を通り越してもはや気味が悪い領域に到達しているように思うのだが》

《まあね。ファリオンもなかなかの化け物だったけど、あいつには先代混沌の“遊戯”がべったりだったからな。あんだけ竜を選ばないってなんかやっぱ不気味だよな。急上昇急降下乱れ旋回繰り返してもケロッとしてるし。むしろテンション上がって喜ぶし。怖えよ。あれ本当に生身の人間――》


《ねえ、皆。お話は長引きそう? わたくし、どうすればいいの? このまま待っていればいいの?》


《きょっ……協議を進めている、今しばし待たれよ!》

《いかん、姫様が退屈してる。巻こう》

《速度向上》


《不安要素を挙げればきりがないが、接触の全面禁止は非合理的かつ非生産的だ。既に逆鱗を渡してしまっているのだし、協力者を失えばシュナを守る盾がなくなる。何より既にあの通り情を移しかけている。ここで無理矢理引き離すのはあまりにも……》

《その盾候補自体が矛に変貌しかねないというか、最大の脅威になる可能性が出てきてるんですが、それは。そして変貌した場合、姫様に自主的に撃退していただく、すなわち黙って食われろとほぼ同義って対策しか現状ないんですが、それは》

《う、うううむ……》

《据え膳》

《なんでその語彙は持ってるのネドヴィクス。つーかシュナのメモリー改めて参照したらさ。この人、人間のシュナのこと、割と狙ってない? こーゆーの、口説いてるって言うんじゃないの? ボクファリオンがシュリに似たようなことしてた記憶あるよ? これもう完全にデートに連れてってプレゼント贈って最終的に寝室に連れ込んでアレする流れだよ?》

《わ、わからぬ……確かに途中までの流れは踏襲しているが、その、紳士的な対応にとどまっておるではないか。それに、メモリー参照では彼奴がシュナから離れたせいでより危険な者が寄ってきたという状況もあった。そうなるとやはり、共にいるメリットがその他デメリットを遙かに上回ると我は判断する》

《うん、結局そうなるよね、知ってた。ボクらの諦めと妥協と心労はきっと必要経費なんだろうなって、わかってた。だからやっぱりボクは思う。ナンパ師絶対許さねえ、色々片付いたらボコボコにしてやる覚えてろ》

《賛成。助力》

《エゼレクスはともかく、なぜ便乗するのだネドヴィクスよ》

《使命感》

《そうか……古竜には若者の気持ちがわからぬ……》


《はーいじゃあまとめまーす……あー、えっと、シュナ? そうそうこっち来て。竜の時は今まで通りでオッケー、自由にしてて。デュランと仲良くするのも大丈夫。ただ、今後お外に人間の姿で出るときは……その、ほどほどに……最低限一人は女性をお連れに確保していただいて、男と二人きりになる状況を避けていただけると、ボクらの心労が幾分かマシになるかなって。あと、人間の時はできればデュランとも二人きりにはならないでいただけると嬉しいなって……どうしてかって? 君がそういう質問をぽろっと零すようなお年頃だからだよ!》

《悲哀》

《大丈夫。シュナには罪はないよ。強いていうなら無知が罪だけどそこはまあ仕方ないとして、これからゆっくり学んでいこうか。そうだね、シュナには学習の機会が必要だし、そのためにはデュランも必要だもんね、クソが。大丈夫、何かあったら竜の中で一番偉いアグちんが全責任を取ってくれるはずだからね》

《我は何か間違っていたのか……?》

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