この世で最も美しい自殺

紅代香蓮は、目覚めると馬車の中にいた。そこは遠い世界、アガレシア、人間と亜人、神々の末裔が共存する世界だった。だが、平穏は二百年前に失われ、アガレシア全土を巻き込んだ大戦の果て、亜人は人間への隷属種となった。
香蓮はアガレシアに棲まうレンという少女と入れ替わることで、この世界に呼び寄せられた。判明したことは三つ。自分が精霊種であること。奴隷であること。長寿を備えただけの無力な存在であること。
奴隷である限り幸福は得られない。レンは自由を得るための闘争に身を窶すこととなる。

この物語は、紅代香蓮という人間、レン・スフラールという精霊種が紡ぎ出す『英雄への渇望譚』である。