表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャドーダンス  作者: 六青ゆーせー
96/99

130

130

誠と美鳥の前に、巨大な獣が立ち塞がっていた。


誠は、大男の心臓を握ったまま膝立ちにさせて、その背後に回った。

美鳥は、獣が襲い掛かってきたときのため、男の横、少し後ろに控えていた。


「あたしを脅かす気かい、坊や?」


「そうです。

僕は心臓を握っています。

もし僕たちを襲う気なら、心臓を握ります」


ハッ、と獣は、鼻で笑った。


「坊やは何も分かってないねぇ。

心臓っているのは筋肉で出来ているんだよ。

坊やは、焼き肉のハツしか見たことも無いんだろ?


生きている心臓を、坊やの力で握ったって、ビクともするもんか!」


誠は頷いた。


「それは触って判りました。でも…」


誠は微かに手を動かした。

と、大男が呻いて、ゆらっ、と倒れかけた。


「動脈は脳に直結しています。

そこを少し抑えただけで、こうすることもできるんです」


アクトレスは唸った。


さすが、あたしの坊やだ。

思った通りの賢さだ。

それに、この度胸の据わりっぷりは…、弟を見ているようだよ、可愛いじゃないか…。

食べてしまいたいほどにね…。


「あんた、何歳だって言ってたっけ?」


「それが、何か関係あるんですか?」


誠は怪訝な顔をした。


「関係ないけど、仕方ないじゃないか。

こうも見事に人質を取られたら。

ちょっとした世間話だろ? 大人は皆、子供に聞くんじゃないか? 今、何歳かって」


誠は無表情のまま、一瞬考え、応えた。


「十四です。

もうすぐ十五になります」


女は一瞬、遠くを見るような目になった。


弟が死んだのと同じ頃って事か…。

匂いで、近い歳だとは思っていたけどね…。


「あんた、射手座かい?」


「誠は少し黙って。


「あと二日で射手座だったんですけど、残念ながら蠍座です。

なんか悪だくみをするように思われて嫌なんです」


女は息を飲んだ。

弟と同じ日の生まれで、弟の命日の生まれかい…。


この坊やは、弟が死んだ、その日に生まれたんだ。

弟と同じ誕生日で、同じことを言う。

あと二日遅かったら射手座だったのに…。

それが一生の不覚、とでも言うように、弟はよく、口にしていた。


「で、あんた、名前は…」


女の問いに被って背後から声が聞こえた。


「アクトレス! その二人に近づくんじゃねぇ!」


女が振り返ると、永田が驚異的な速度で駆け寄ってきていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ