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シャドーダンス  作者: 六青ゆーせー
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良治も影繰りになって十年になる。


十六になって早々、ヤバい喧嘩をして、六人の上級生に囲まれた。

殺される!

と、思った、その時に影に目覚め、以来、影繰りとして生計を立てている。

懸命には走ったが、経験上、近接タイプの走力には敵わないことは知っていた。


だが、せめて、もう少し仲間の近くだったら、と思わずにはいられない。

アクトレスもサラリーマンも奥に走って行ったので、良治の周りには誰もいなかった。

振り子の爆撃を逃げるためとはいえ、それまでの戦いで後ろに下がり過ぎていたことを、良治は後悔した。


二人組に追いつかれるわけにはいかない。

奇襲は二度は通じない。


だから、良治は立ち止まるしかなかった。


ナイフを浮かべて振り向き、まだ走っている二人に撃ち込んだ。


しかし、男の動きはさすがとしか言いようがなかった。

良治が二人を狙って撃った全てのナイフは、男が撃ち落とてしまった。

下手に奇襲をかけた分、相手を本気にしてしまったようだ。

良治は舌打ちをした。


小娘が、分銅の一つを持ち上げている。

二つの分銅は防御に残している。

そして男は、ボクシングスタイルに身構え、じりじり前進してきた。


良治はナイフを浮かべたまま、後じさった。

何か打開策が必要だ。

良治は、冷や汗を流しながら考えた。


兄貴、バタフライには、豊富な戦闘経験があり、作戦の立案、遂行時の判断、共に優れていたため、良治はこういう追い詰められた時の経験が不足していた。


兄貴と組む前は一人仕事をしていたのだが、良治に回ってきたのは素人相手の簡単な仕事ばかりだった。

影繰りとの単独戦闘、しかも相手は二人組のコンビと戦うなど、良治は一時間前まで夢にも思っていなかった。


敵に分銅がある以上、距離を取って下がるしかねぇ…。

だが、走力のある近接戦闘タイプに接近を許さないためには牽制の射撃を工夫する必要があった。


良治は必死に考えた。


バリアーのサラリーマンに撃ったような、大きなナイフを撃ってやろうか?

しかし、作るのに時間がかかるから、隙を狙われて接近されたらやべぃ…。


今より、もっと沢山のナイフを撃ったらどうだ?

良いようだが、さすがにコントロールはつかなくなる。

それに、前後、どうしても隙が出来る。


頭から湯気が出るほど考えたが、名案は浮かばない。


やべぇ、このままじゃ…!


思い、気が付いた。

このまま走れば、少しづつだが兄貴やアクトレスのいる方に近づいていく。


そう。

さっきまでとは逆位置になっているのだ。


俺は、ただ接近戦に持ち込まれないよう気をつけてりゃあ、進むだけ有利になるんじゃねぇか!


この位置さえ維持していれば、勝つのは俺だ!


良治は、心の中でほくそ笑んだ。






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