91/99
124
124
今日は本当にツキの無い日だ。
永田は思った。
バリアーの維持に問題は無かった。
もはや、アクトレスがどう暴れようと永田のバリアーばビクともしないだけの厚みがあった。
地面のコンクリートが少々傷んでいるのにも気がついてはいた。
しかし、問題になるほどの損傷ではなかった。
アクトレスが、コンクリートに、牙を突き立てるまでは…。
黒い獣の牙が、コンクリートに刺さった瞬間、コンクリートは爆発した。
アクトレスは、まだ己の力を100%見せてはいなかったのだ。
そして、爆発した一瞬、アクトレスが消えた。
あの巨大な獣が消える?
永田は、瞬きするほどの一瞬、トリックに引っかかってしまった。
猫に変身したのだ。
黒猫は、十センチもない隙間から外に出ると、巨大な獣の姿を取り戻した。
バリアーを張り直す時間は十分にあったはずだと、永田は臍を噛む。
だが、巨獣消失のトリックに引っかかった永田は、チャンスを逸した。
そして…。
「キャハ!
壁張り屋は、大人しく壁の穴でも塞いでな!」
叫びを残すと、アクトレスは、誠に向かって突進した。




