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良治は何度か、死ぬか、と思った。
影の蕾が開き、出てきた二人に、良治はナイフを撃ち込んだ。
しかし痩せたスーツの男が、ボクシングのパンチで、一瞬で良治の全てのナイフを撃ち落とした。
こいつはかなりの使い手だ。
接近戦闘オンリーらしいが、遠距離の攻撃は皆、素早いパンチで撃ち落としてしまう。
良治はすぐさま判断した。
小さな女を狙ってみる。
女が、あの分銅の使い手だった。
自分の体ほどもある分銅を器用に使い、良治のナイフを弾くと、そのまま分銅が良治に向かって飛んできた。
どうやら分銅は、三つ出せるようで、爆発と破壊の限りを尽くして、良治は何度も吹き飛ばされた。
その都度、かろうじて避けて、ナイフを飛ばす。
だが、気を抜くと、ボクシングの男が良治の近くに迫ってくる。
接近戦闘のプロに近寄られたら、分銅どころの騒ぎではない。
良治は、体中を焼け焦がしながら逃げ回り、敵を観察し続けた。
ボクシングの男は、防御は完璧だが、常にボクサースタイルを維持するため、スピードは遅い。
女は、まずは自分の身を分銅で守るため、攻撃に移るのは最後だ。
しかも防御の幾分かをボクシングの男が担っているため、男の前には出てこない。
つまり、総じて遅い。
ボクシング男のスピードが、コンビの移動速度とイコールだ。
もう一つ、コンビに弱点があるとすれば射程だ。
分銅の射程は十五メートルかそこら。
鎖の長さまでしか飛ばないらしい。
その分、破壊力はすさまじいが、良治は焼かれながら射程を確かめた。
つまり…。
素早く動いて、女を狙えば、男は庇って動けなくなる。
そうすれば、良治は射程外からナイフを撃てる、という計算が立った。
良治は、薄く笑った。
今まで、直線の攻撃のみを続けたのは、相手を調べてやるためだ!
今度のナイフは、曲がってメス餓鬼だけを狙ってやるぜ!
逆転の作戦を立てながら、良治は走った。




