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美鳥の体を、蝶が覆っていく。
アクトレスを見事に投げた蝶の鎧だが、バタフライは初見だった。
とはいえ、何かをしようとしているのは容易に想像がつく。
バタフライは掌の血をズボンで拭って、何かが完成する前に美鳥に突っ込んだ。
幼げな少女にドリルを使うのは忍びなかったのか、ショルダータックルで突っ込んだ。
だが、バタフライは少女を突き抜けていた。
また、透過の標的になってしまったらしい。
しかしバタフライは、誠の透過を体で覚え始めていた。
さしてタイミングも崩さずに、背後にいるはずの誠に手を伸ばした。
今度は完璧に捕まえられると思った。
相手の不意を突けば、透過は使えないハズなのだ。
だがバタフライの手を空を切った。
餓鬼が自分を落としたのか!?
さすがにバタフライも驚くが、誠は、男の死角に立っていた。
なんだ?
いったい何をしやがった!
バタフライは混乱した。
バタフライの想定した誠の能力は、落ちるか、擦り抜けるか、上に上がるか、だった。
だが、今の動きは、その、どれとも違う。
僅かな距離だが、まるで瞬間移動したように思える。
慌てたために崩れかけたバランスを整え、男は滑って、その場を離れた。
餓鬼は危険だ!
男は骨身に沁みて感じ取っていた。
なにか、まだバタフライの知らない力を隠していやがる!
線路を越えて一旦距離を取ると、奥でアクトレスが閉じ込められていた。
「あのサラリーマンめ!」
バタフライは、永田に向かって疾走した。




