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「おいおい、あれを投げるつもりかよ」
永田が唸った。
痩せた男の頭上には、電信柱のような大きさの剣が一本、永田たちの方向をむいて浮かんでいた。
「誠君、大丈夫?」
「えっ…、ええ、たぶん…」
誠自身、自分の能力をよくは知らない。
出来るような気がするが、失敗したらどうなるのか判らない。
そう言おうとした時、美鳥が叫んだ。
「失敗したわ。
あの男、死んでいなかった!」
驚いて永田と誠が背後を振り返った時、コンクリートの地面がバリバリと音を立てて砕け、土煙が舞い上がった。
「まずいな…」
永田が焦って呟いた時、良治の前では、長い間、動きを止めていた影の蕾が、ゆっくりと開き始めていた。




