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良治は影の剣を浮かばせて、バリアーに打ち込もうとしていた。
兄貴!
必ず奴らは、俺がブチ殺すからな!
すでに当初の目的、小田切誠の奪取、は、すっかり忘れ果てている。
今、良治には、兄貴分バタフライの復讐しか頭になかった。
だが、ふと、餓鬼が邪魔だよな、と思いついた。
せっかく良治が最大パワーで作った巨大ナイフも、どうやら餓鬼の影能力でバリアーに触れることすら出来ないようだ。
良治は、いつもバタフライに言われていた。
「おめぇの影は最強に強いんだぜ。
射程が半端ないし、コントロールは正確だし、連発だってできる。
なのにお前は、いつもワンパターンな攻撃しかしないから負けそうになるんだ。
もっと考えなきゃあ、お前、いつか死ぬぜ…」
そうか…、俺の攻撃が単純だから、餓鬼にも考えを読まれちまうんだな…。
思ったが…。
だが、兄貴がいねぇ、アクトレスもやられちまった。
どうするか…。
接近戦を仕掛けるか、とも思ったが。
相手が悪い。と考え直した。
兄貴やアクトレス、接近戦で最強の強さを発揮する二人が、僅かな時間でやられている。
それだけ、三人のコンビネーションが良いのだろう。
バリアーで守られながら、餓鬼は安心して思うさまに落とせるし、小娘は蝶で襲いかかる。
兄貴たちのようなスピードがない良治では、戦いにもならない。
そう…。
長距離を生かして攻撃するのが良治の強み、と兄貴も言っていたじゃねぇーか。
それを忘れちゃあいけねぇ…。
だったら…。
奴らが驚くような、巨大なナイフを飛ばしてやろうか?
良治は、今、自分の頭上に、扇を広げたように並んでいる十本の剣を集めて、特大の一本を作り始めた。




