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「透過します!」
誠は標準を決め、さらに出口を決める。
その間は透過のトンネルになって、全てを透過させる。
考えると難しそうだが、地下に落とすというのも、無尽蔵にある地下の物質を、射程の限り全て透過させる行為なので、実は誠には普通の透過に過ぎない。
渋谷駅で男を転倒させたときのように、数十センチ落とす落とし穴を作る方が難しいぐらいだ。
無数の剣は、誠の計算通り背後に突き抜けた。
そのまま飛んで、カーブしたトンネルの壁に突き刺さった。
「驚いたな、何百メートルも影を維持できるとは…」
永田は、しばしバリアーの補修も忘れて、背後の壁を見つめた。
「射程はSクラスね。
動きが止まっているのが難点だけど」
「向こうも動かず、こっちも動かず、だな。
ダンサーはどうだ?」
「あと数分でレディの傷が完治するそうよ」
「ダンサーさんは傷も治せるんですか?」
「ええ。
ミオの蕾は攻守に使い勝手がいいだけではなく、蕾状態では中の人間を治療できるのよ。
傷を治せるっていうのも彼女が強い理由なんだけど、今みたいに動けなくなるのが難点ね。
おかげでこっちは大ピンチよ」
「女の子に傷が残ったら可哀そうですからね」
カハハ、と永田は笑う。美鳥もクスクス笑っていた。
「えっ、何かおかしいですか?」
何も変なことは言ったつもりは無いが、誠は頬が紅潮するのを感じた。
「誠君。
レディは男の子なのよ。
男の、娘、って言うの? 知らない?」
えっ、えっ? えええっ! と誠は混乱して叫んだ。
「じゃ…、しゃあ、男同士で…?」
「ミオは女性なのよ」
「へ…?」
「まぁ、ある意味、理想のカップルかな」
永田が笑いながら言う。
が、口調がシリアスになり、続けた。
「また撃つつもりのようだ。誠君、頼めるか?」
「は…はい、もちろん…」
何か、理解できないものを聞いてしまったような気がする…、と誠は思った。




