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シャドーダンス  作者: 六青ゆーせー
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「誠君、やったわね!」


美鳥は興奮してバリアーに駆け寄った。


「美鳥さんが、上手く投げてくれたおかげです!」


誠も嬉しそうに答えるが、永田の声が水を差した。


「嬢ちゃん。バリアーに戻りな。

あのスケート男だぜ!」


暗いトンネルの中を、音もたてずに滑ってくる大男が見えた。

誠は慌てて、美鳥を透過した。


「どうしたの、ダンサーは?」


「レディの奴が背中を撃たれたんだ。

ミオはレディにぞっこんだから、しばらくは蕾状態のままだろう」


永田が説明する。


「遠くから攻撃する痩せている人ですね。

どんな攻撃か、判りましたか?」


「はっきりとは。

何か、刃物状のものを飛ばすみたいだな」


「レディの傷は深いの?」


「肩口だから、そう深手ではないだろう。

骨と筋肉しかないから、上手く骨で止まってりゃあ出血の割に傷は浅いはずだ。

だが、はっきりとは判らん」


話している間にも、スケートの男は迫ってくる。と同時に…。


大男の背後から、影の塊が飛び込んできた。


永田のバリアーの一点に、正確に、連続して影が命中する。


「三度も遣り合っているからな。こっちの弱いところを攻めてきやがる」


「まずいんですか?」


誠は聞くが、永田は笑って、


「俺のバリアーは、マニュアルにもオートにもできるんだよ。

調節してやりさえすれば、問題ない」


スケートの男は、真正面からぶつかってきた。

突き出した腕に、影がドリルのように錐状に突き出し、高速回転していた。


「あ…、あの人、あんなものを僕に撃とうとしていたんですね…」


誠は、高円寺での暗闇の襲撃を思い出して、青ざめた。


「加減はするでしょう。

あなたを殺すつもりは無かったはずだから。

でも、まぁ、刺さったら痛いでしょうね」


美鳥は冷静に教えた。


「来るぞ!」


「落とします!」


誠は、静かに怒りに燃えた。


大男が、身体をたたみ、片腕を前に突き出して、バリアーに突っ込む。

誠が能力を発動のと、男がジャンプしたのは同時だった。


「あっ!」


誠は唖然とする。


男は、バリアーの前で、フィギュアスケートのような見事な回転シャンプを披露したのだ。

身体をまっすぐに伸ばして、コマのように回転しながらバリアーの真上を越えていく。


「アクトレスを救い出す気だわ!」


美鳥が叫んだ。


考えてみれば至極当然な答えだ。

アクトレスの戦闘力は絶大だ。

スケートの男は、渋谷で永田と戦い、攻め倦んで三人を逃した。

再び、同じように逃げられたら、今度は彼らに追いかける術はない。


男は、滑らかに着地を決めた。

が、その場で転倒した。


よし、と誠は心の中で頷いた。


「誠君、私が出るわ」


「いけないぜ嬢ちゃん。

奴にゃ嬢ちゃんの鎧は効かない」


ドリルは、影で防御力を上げるタイプの近接戦闘型には天敵ともいえる、貫通力をもった能力だった。

だが、会話の間にも、転倒した大男に、黒い蝶が大群で群がっていた。


「今なら戦えるわ!」


「僕が落とします」


誠は言うが。

大男は、天井に腕を向けた。


ちょっと前まで、ドリルだった腕が、今は返しのついた銛の形態に変っていた。

またしても、誠が落とす、瞬間に、男は銛を撃ち込んだ。


銛にはロープが付いており、男の体は素早く天井まで登った。


しかし、その間にも、影の蝶は男の体に貼り付き、固まっていく。


天井の銛が、突然、落ちた。


誠が透過したのだ。


大男は落ちる。だが…。


瞬間、男は動かない体をエビのようにのけぞらせ、反動をつけていた。


大男は、アクトレスの隣に落ちた。


「ああっ! 失敗した!」


誠が思わず叫んだ。


「私を出して!

今なら、奴を食い止められるわ!」


誠は困惑し、永田に判断を仰いだ。


「焦るな嬢ちゃん。

嬢ちゃんの力じゃあ、動けないデカイ男を持ち上げるのには無理がある。

こっちはダンサーの傷さえ治れば、まだまだ有利なんだ」


判ったわ、と美鳥は言う。


「それじゃあ、あの男は殺すわ」


黒い蝶が、大男に群がった。

男は真っ黒い芋虫のような塊になり、コロン、と倒れた。


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