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ダンサーチームの、ベルサーチの男、ミオは、美鳥が獣を投げ飛ばすのを走りながら見た。
なかなか、やる。
だが同時に、いつまでも続かないのは察していた。
一度投げられたぐらいで、どうにかなる化け物ではない。
あの獣と長丁場、ガチで戦うには、美鳥は小さすぎ、幼すぎる。
オーラを纏う事でパワーやスピードが上がる、とは言っても、影繰り同士の戦いならば、それは相手にもいえることであり、どうしようもない個人差があった。
獣は、いわば近接戦闘の最高級のオーラを纏っている。
経験の浅い美鳥の鎧では、長時間の戦闘は、とても防ぎきれない。
なんとか投げ飛ばした瞬間に、永田の元に帰るべきだった。
だから早く、自分が行って、美鳥の逃げる余裕を作らねばならなかった。
背後でレディの叫んでいる声は聞こえていたが、今、さしあたっては美鳥の救出が優先される。
判断し、美鳥に向かったミオの背後で、レディの悲鳴が聞こえた。
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大男は階段を駆け下りた。
影の戦いの気配は、既に察していた。
駅のホームから線路に飛び降り、数百メートルを走ると、ちょうどド変態のアクトレスが、環七で閉じ込められたサラリーマンのバリアーを砕いたところだった。
そのアクトレスに向かって、二人の見知らぬ男女が駆け寄っていく。
着飾った優男と小柄な少女の二人連れだ。
自分たちは背後を取っている。
しかも、アクトレスの大暴れに気を取られ、自分たちには気づいていない。
ならば、やることは一つだった。
「良治、奴らを撃て」
後ろを走っていた、痩せた小柄な男は、無言で両手を突き出した。
両手の十本の指からナイフ状のものが現れ、一斉に発射された。




