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「どう、誠君。
暗闇を克服できたかしら」
美鳥は、百メートルほど離れて手を振った。
「大丈夫です。
もう、暗さは関係ありません」
誠は、手を振り返した。
六本木駅から一キロほど離れた、緩やかなカーブを描く地下鉄の路面に、誠たちは立っていた。
ここで敵を迎え撃ち、行動不能にするのが目的だ。
敵は、何らかの探知能力を持っている。
だから、必ずここまで入ってくるはずだった。
それ以前に、出来るだけ地形を調べ、有利に戦えるようにする必要があった。
入ってみると、かなり大きなトンネルだ。
六本木駅周辺では登りと下りは上下二階建てのトンネルになっており、誠たちは上のトンネルにいた。
いざというときには、すぐに落ちられる。
それは誠たちに有利に働くはずだ。
床はもちろんコンクリートで、中央部が盛り上げり線路が走っている。高さがあるため、脇にどいていれば、横を列車が走り抜けても平気だろう。
トンネルの幅は二車線の道路ほどはある。
壁には一定間隔で電灯が灯っていた。
だが、それでは誠の暗視能力が向上しないため、美鳥が蝶で覆い、暗闇を作った。
戦いは防衛戦になる。
永田がバリアーを張り、守られた美鳥と誠が、蝶を飛ばし、敵を落とす。
援軍のダンサーも来てくれるはずであり、それまで凌げれば、ほぼ戦いは終わるも同然、ということだった。
ダンサーの破壊力は群を抜いているらしい。
美鳥は走って戻ってきた。
準備は整った。
誠も美鳥も、作戦は頭に入っている。
三人が、同時に六本木方面を振り返った。
「来たようだな…」
永田が呟いた。




