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ヒカリエの裏道を疾走し、青山通りに飛び出したハーレーバビットソンは、ただひたすらに誠の匂いを追っていた。
頭のいい坊や。
舌なめずりをしながら女は考える。
渋谷駅には間に合わなかったが、どうも落ちるだけではなく登ることもできるのだという。
女の中で、坊やのイメージが膨らみ、堪らなくなってスマホを取り出した。
望遠撮影の画像だが、ほぼ正面から写した少年の、ほっそりした姿に目を落とし、女は、キャハッ! と叫んだ。
今、自分は坊やの頭の上を走っている。
そう思うと、とんでもない高揚感を感じた。
坊や。
きっと可愛がってやるよ!
女は、心の中で叫んでいた。
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青山一丁目の駅に停まると、三人は階段を駆け上がった。
そこは銀座線のホームで、しかも発射チャイムが鳴り響いていた。
足の悪い永田をかばいながら、三人は電車に飛び乗った。
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「んー、少し動いた気がするわ。
電車を乗り換えたのか、電車の進路が変わったのか分からない。
ほぼ、同じ方向には進んでいるけどね」
レディはネックレスの分銅を回しながら言った。
「ふむ、それだけでは何とも言えないな。
地下鉄の路線図を見ても…。
あっ、ここから半蔵門線と銀座線の行き先が別れるぞ!
レディ、どっちに向かうんだ?」
「右よ、右。
前の大きな通りを右に行って!」
タクシーはタイヤを鳴らし、右折レーンに無理やり飛び込んだ。
「さっき乗り換えたのね。
全く、油断も隙も無い…」
レディは呻くように言ったが、ミオは地図を見ながら頷いていた。
「外堀通り、銀座線だ! なるほどね…」




