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良治は躊躇いなく撃った。
元々、良治は作戦を考えるとか、相手の行動を予測する、などといった細かい思考は苦手だ。
と、いうよりは、頭のどこを探しても、そんな機能は良治には無いようだった。
幼い頃は酷い苛めをして、相手の気持ちを考えろ、とか教師によく言われたが、さっぱりだった。
大人になるにつれ、空気を読むとか、状況で動く、とか良治の苦手な場面はどんどん増えてきた。
良治は逆に苛められるようになったが、それでも他人の考えることを察するなどと言う器用な思考は、良治には生まれなかった。
それを笑って許してくれたのが大男だった。
だから良治は、兄貴と呼び、大男を慕っていた。
兄貴の考えに間違いはねぇ。
そう確信しているから、良治はいつでも、何の躊躇もなく影を放った。
が、跳ね返された。
何か黒いものが、三人の周りをチラチラ飛んでいた。
それが良治のナイフを弾いたらしい。
そして、三人は、副都心線の天井に消えていった。




