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シャドーダンス  作者: 六青ゆーせー
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大男も我が目を疑った。


落とす能力。

それは、それだけでも迂闊に近づけない強力な能力だ。


どんなに強い人間でも、地面の中に埋められてしまったらお終いだ。

しかも即死ではない分だけ、何倍も余分に恐ろしい。


真っ暗な土の中で、酸素欠乏と、身動きの取れない何万トンもの土の重さに押し潰されながら死んでいくのだ。

だが…。


逆の力も持っているだと!


影の柱を作って、上に登る?

そんな馬鹿げたことがあるだろうか? これも、野生種の力なのか?


驚いている内にも、餓鬼はゆっくりと天井に近づいている。


大男は混乱しながらも、餓鬼たちを乗せた影の柱に向かって最大速度で滑り、渾身の一撃を放った。


ドリルの回転が黒い影に突き刺さった、と思った瞬間。


大男は、柱を通り抜けていた。


影に触ることさえできないのか!


鳥肌が立った。


俺は、今、餓鬼の力の標的になったのだ。

地下に落ちなくてよかった。

影の柱を、横に通過して、突き抜けた。


だが、安心したのは一瞬だった。

パンチは、相手にヒットしてこそ、エネルギーを消費できる。

全力のパンチが空振りすれば、高速で滑っている大男のバランスが崩れるのは必定だった。


お男は転倒した。

それが、この男の攻撃の唯一の弱点だった。


氷の上ならば、転倒すれば、体ごと滑っていく。

滑りながらエネルギーが消費され、やがて止まる。


だが、地面は滑らない。

男はコンクリートに叩きつけられ、弾んで空中に投げ出された。


とてつもなく痛いが、大男は空手の黒帯であり、体中の筋肉は十分に鍛えられている上、受け身も心得ていたが…。


頭を庇って、丸まったままコンクリートを転がり、何とかうまく地面を叩いてエネルギーを逃がしたので、致命傷は免れた。が…。


大男の、影繰りとしての、初めての敗戦だった。


大男は、転がったまま、叫んだ。


「良治! 撃てっ!」


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