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良治は、敵の動きを大男に伝えるのが役目だった。
前回、大男が餓鬼から一瞬、目を切ったばかりに逃走を許してしまった。
そのため、今回は水も漏らさぬ計画を立てたのだ。
だが、それは餓鬼が、もう、これ以上、落ちないことが前提だった。
ここにはもう、逃げ場はない。
だから、仕掛けるなら、この地下駅しか考えられなかった。
しかし、良治の目の前で、予測を覆す出来事が起こっていた。
餓鬼が、仲間に伝えるように、小さく、上がります、と呟いた。
すると…。
餓鬼の足元に影の足場ができ、それがどんどん、タケノコのように伸びていった。
餓鬼は、大男の攻撃の届かない高さに登りつつあった。




