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「応援の人ですか?」
手を休めずに誠は聞く。
周りからは不自然に思われそうだが、気にする様子はない。
一つのことに集中するタイプのようだ。
「ええ。
ダンサーさん。サポートにきてくれる方よ」
「どんな人なんですか?」
「女性よ。会ったら驚くかもしれないけど」
誠はヨーヨーでも持っているかのように、腕を上下に動かしていた。
「ダンサーっていうのは、影の能力から来ているんですか?」
美鳥は少しためらって。
「誠君。影繰りは、あまり自分の能力を教えたがらないの。
力を推測されてしまうと困るでしょ。でも、まぁ、当たってもいるわね。
私も能力にちなんだコードネームで呼ばれてるわ」
誠は、パッ、と顔を輝かせた。
「美鳥さん、今、少し影が動きました!」
まさか? と美鳥は誠の影を見た。
いくらなんでも、そうそう簡単に二つの影を操れるわけがない。
列車の床で、誠の影は、確かに、かすかに揺れているようにも見えるのだが…。
現状では、なんとも言い難い動きだった。
だが、可能性がないわけでもなさそうだ。
「そのまま続けなさい」
美鳥は微笑んだ。
電車が、ぐらり、と大きく傾いだ。
「あ、美鳥さん。そろそろ乗り換えます」
唐突に誠が宣言した。
「えっ、なんで? このまま大門のハズでしょ?」
「大江戸線に乗ったのはバレています。
彼らはたぶん、新宿辺りで待ち構えていると思うんです。
だから、都庁前から飯田橋方面に乗り換えます」
「遠回りするって事?」
「多少です。東新宿から、副都心線で渋谷を目指します」
「それなら追跡を振り切れるというのね」
「渋谷で、完全に逃げ切れます」




