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シャドーダンス  作者: 六青ゆーせー
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「キャハ! ちょっと、どうなってんだい! バタフライ!」




42

六本木方面行の大江戸線の車内で、美鳥のスマホが鳴った。

大江戸線は丸ノ内線と違ってポツポツと乗客がいたが、影を纏った二人に誰も気が付かなかった。


美鳥は驚きのあまり言葉を失ったが、誠は走る電車の、しかも乗降口の横、座席のすぐ横という、とんでもない位置に事も無げに落ちた。


誠はにっこり笑って、良い位置取りでしょ、と自慢したが、少しでもズレたらどうなったか、と思い、美鳥は青ざめた。


その時スマホが鳴り、乗客たちは幼いカップルが抱き合うように電車にいることに初めて気が付いた。


「ああダンサーさん!」


美鳥の声が弾んだ。





43

青梅街道を新宿へ、タクシーは快調に進んでいた。

大男はバイブに気が付き、スマホを取り出した。


「おう、アクトレスか? 敵は大江戸線だ。新宿の駅で捕まえる算段だぞ」





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「あたしの可愛い坊やはどうしている? 無事なんだろうね」




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「はい、万事順調です。このまま浜松町、いえ大門に向かいます」


誠は移動中の暇の間に、影を動かそうと腐心していた。

そうそう出来るものではない、と美鳥は思ったが…。


誠の手の影が一瞬、不自然に揺らめかなかっただろうか? 

電車の揺れかもしれない、と美鳥は天井のLED灯を見上げた。




46

「このド変態め!」


大男はスマホに叫んだ。


「ごちゃごちゃ言わなくとも、奴は怪我一つしちゃあいねぇよ! あれは化け物だからな」


はぁ、と溜息をつき。


「得意の力で、せいぜい餓鬼を追ってくれ。

判ったら、こっちにも知らせるんだぞ! じゃあな!」


「兄貴、あの変態に行き先を教えちまっていいのかよ?」


大男は窓の外に視線を逸らした。


「俺たちだけで追うにゃあ、奴はちょっとばかり強くなり過ぎたよぅだ。

また地下鉄を落ちられたら、どうにも追いきれねぇぜ。東京の町は地下鉄だらけなんだからな。

今は、あいつの力が必要だ。

なーに、あいつがエキサイトしないうちに餓鬼を取り返せばいいんだよ」




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スマホを切って、キッチリ、ポマードで髪を固めた、ベルサーチのスーツの男が扉から出てきた。


周りの女たちが、皆、ほっそりと長身の男を見上げる。

出口を抜けた、駅の通路で、ナイトドレスの上にカーディガンを羽織った少女が、腕を組んで待っていた。


「全く、女のトイレは長いったら!」


長身の男。

実は宝塚も真っ青な長身の女、はニヒルに笑った。


「そう言うなよレディ。

長かったのは、蝶に連絡を取っていたからさ。

大江戸線だそうだ。我々も急ごう!」


ちょっと引っ張るなよ、とレディは文句を言った。

ピンヒールの豪華な靴が、盛大な音を立てて駅の通路に響いた。

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