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美鳥はスマホを見て溜息をついた。
「永田さんが失敗したわ」
「ええっ! 殺されちゃったんですか?」
「違うわ、永田さんは…、もう、あなたも、このミッションの当事者だものね、永田さんは強力なバリアーを張れる影繰りなの。
連中を閉じ込めて救援を待っていたんだけど、あの地面を滑っていた男が、パンチで永田さんのバリアーを破ってしまったそうよ。
思った以上の使い手ね、あの男は」
誠は思わず立ち上がった。
「どうするんですか、これから!」
「問題ないわ。
もう、あなたの影を追われる心配はないし、後は本部に着けば万事解決よ」
「でも、あの二人が…」
「なぜ、あなたを襲ったとき、二人組が周りを真っ暗にしたのか、判る?」
「さ、さぁ? 逃げられないようにするためじゃないんですか?」
「逆よ、あなたの攻撃を恐れているから視力を奪ったのよ。
あなたは一瞬で彼らを地下に生き埋めに出来る。
これは、とてつもなく強い力よ。だからこそ血眼になってあなたを捕まえようとしているの。
でも、あなたがいる限り、彼らも簡単には襲えないのよ。
何しろ一瞬で殺されてしまうのだから、何の策もなく近づくことは出来ない。
そして今、イニシアティブは私たちが握っている。
この状況では敵も作戦を立てずらいわ。何しろ、私たちがどの駅で降りるかも判らないのだから」
「応援が来るという話を、さっきしていましたよね?」
「大丈夫。メールしたから、あたしたちにも応援が来るわ。まだ誰か分からないけど」
誠は納得したのか、席に座った。
「美鳥さん、それで安全な本部って、どこにあるんですか?」
「浜松町よ」
「大門か…」
誠は、常に地下鉄の駅で地理を判断していた。




