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兄貴。
新宿に行くなら、バイクの方がよっぽど早いんじゃねぇか?」
動き出した列車の中で良治が言った。
「馬鹿か。
もう、あの男が応援を呼んでいるぜ。バイクは無しだ、もうバレちまっているからな。
それに新宿に行くかは判らないんだ。
丸ノ内線は池袋にも荻久保にも行くんだぞ。
今のところ、俺たちは追いかけるしかねぇのさ」
「そっか。
あの餓鬼の影を辿れば、降りた駅が判るもんな」
「そうだといいんだがな…」
大男は考えていた。
餓鬼と一緒にいたという少女。
餓鬼とタメぐらいだそうだが、そんな歳で実戦に出ているとすると、相当優秀なのだろう。経験は少ないかもしれないので、そこが付け目だが…。
プロの影繰りが、あの餓鬼に最初に教えてやるのは影の消し方に決まっている。
そうなると追跡も楽ではない。
そろそろ、おやっさんに相談して援軍を呼んだ方がよさそうだ。分け前は減るにしても…。
大男はスマホを取り出した。




