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「済まんな良治。俺がしくじっちまって」
限定解除の大型スクーターに乗った大男が、同じく大型バイクに乗った細身の男に謝った。
「気にすんなよ兄貴。
チームは持ちつ持たれつ、だろ。それより、あいつら何者だ?」
目の前の黒いワゴン車は、見た目以上にスピードが出るようだ。しっかり手が加えられているらしい。
「同乗者か、国の犬か、まだ判らんな」
「国だったらヤバくないか?」
ハッ、と大男は笑った。
「俺たちが、ヤバくない仕事をしたこと。あるか?」
ケケケ、と良治も笑う。
「そりゃあそうだな。どんな仕事も、ヤバいことに変わりはねぇ!」
「そう言うこった」
ハハハ、大男は愉快そうに笑い、指示を出した。
「いつまでも追いかけていても仕方がねぇ。
今度、陸橋に乗ったら、さっさと仕掛けるぜ」
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「攻撃するつもりのようね」
「判るんですか?」
「あなたは昨日、影繰りになったばかりですものね。
影繰りが影を使うとき、影の気配が高まるわ。
普段は小指に抑えている影を、いつでも出せるように少し緩めるの。
それを感じられるようになれば、相手の攻撃タイミングが、ある程度分かるわ」
「凄い…」
「判らなくても、敵の攻撃を三度も避けたあなたの方が、よっぽど凄いわよ」
「えっ、見ていたんですか?」
「あれだけ影を出しまくって攻撃していれば、通り一本離れていても、見ているのと同じだったわ。
あの早い攻撃、長距離攻撃のコンビは本当に厄介ね。真面目に強いわ」
誠は後ろを振り返った。
「あの。
真っ暗にしたのは誰なんでしょう?」
「正確には分からない。
動きがなかった所を考えると、長距離攻撃の男だと思うけど、もし、あのコンビが協力して作ったのだとしたら、恐れ入るチームワークね。長年の戦友ってところかしら」
「三人いるのかと思っていました」
「大まかに数を感じられるだけでも大したものよ。
でも、たぶん、三人目はいないわ。断言はできないけど。
なぜなら三人目がいれば、あなたが逃げるのを阻止できたはずだから」
「一人はフリーになっていたはず、ってことですね」
少女はにこりと笑った。
「その通りよ」
言ってから、少女はキビキビと運転手に喋りかけた。
「永田さん、たぶんタイヤを狙ってくるわよ」
運転手は頷いた。
「だが、タイヤをやられたら逃げられないぞ。素人を抱えての戦いも不利だ」
「あの…」
誠が口を挟んだ。
「落ちてもいいのなら、あの陸橋を登ってくれれば、落とせますよ」
運転手と少女は黙り込んだ。
「さすがに車は…」
運転手の永田が言った。
「私たち二人なら落ちられるわ。
そうなったら、永田さん二対一だけど、大丈夫?」
「誰にもの言ってる、嬢ちゃん」
永田は笑った。
「じゃあ誠君、任せるわよ」
黒いワゴン車は陸橋を登って行った。
陸橋を登れば交差点をスルーできる作りの環状七号線道路だった。




