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塾では無難にやり過ごすことが出来た。
やはり誠の学校の変態殺人事件は騒ぎになっていたが、ターゲットがどうやら男子らしかったので、いまいち大きな騒ぎにはならなかった。これが女子なら不安や恐怖を言いつのっているだろうが、男子は逆に黙り込んだ。そのため教室のあちこちでヒソヒソ話が囁かれる程度で済んでいた。
誠は、誰かに聞かれても、何も知らない、とだけ俯いて答えてやり過ごした。
相手と目を合わせたら、再び涙が溢れるのではないかと不安で、目は合わせなかった。
塾が終わると、誠は急いで帰り支度をし、教室を飛び出した。
帰ったら頭から毛布を被り、すぐに寝てしまいたい。
こんな精神状態で、勉強などできるわけがなかった。
自転車に乗り走り出す。
体を動かしている間だけ、悲しみでも後悔でも憤怒でもない、この変な、胸でとぐろを巻く感情をどうにか出来た。動きを止めると、眠らない限りは感情は荒れ狂っていた。
誠は、夜の街を疾走した。
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「しくじるなよ良治。
一発で仕留めないとマズイことになる。
おめぇの働き次第なんだからよ」
大男は、疾走する自転車と並走するように民家の屋根を飛びながら、囁いた。
「判ってるけどよ兄貴。仕掛けるのはどこなんだ?」
「餓鬼に聞けよ。奴次第だ。
人気のない暗い通りに出たら即座に仕掛ける。だから気を抜くな」
今のところターゲットは商店街を走っていた。
だが唐突に、自転車は細い路地に飛び込んだ。
駅の近くなので、まだポツポツと人の姿はあるが、餓鬼のマンションの地理から言って、これからは人のいない道に進みそうだった。
「良治。
奴が次の通りを過ぎたら仕掛ける。準備をしておけ!」




