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フォルトゥナ戦記~キモオタだって異世界でモテたい!~  作者: メアー
ギルダム王国式典 前編
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83. 暗躍などさせるものか



王との謁見を終えた豊達は、宿屋に集まり会議をしていた。


現在、マリーゴールドは魔装車で、ギャリオンとルルを迎えに行っている。

作戦には彼等の存在が必要不可欠なのだ。


「マリーが村から戻ってくる間に、ある程度は計画を練る必要がある、ロシィ、ユピス、いいね?」


「はーい」


「もちろんだとも」


 豊の考えでは、絶対と言っていい程に、この契約式典を壊したい連中が存在する。

それはアリア教団だったり、他の国とも考えられ、ギルダム内部にも、エウロ王転覆を図る輩も居ないとも限らない。


 式典そのものを潰しに来るのか、王や豊、集まった重役を亡き者にしようとするのかは多々、想像出来る。


 見えない敵の目的が、エウロ王暗殺ならば、徹底した対策を施し、豊の暗殺または誘拐などが目的なら、彼自身が気を付ければ済む話ではあるが、来賓である貴族達のうち、一人でも式典内で凶刃に倒れる様な事があれば、主催側の大きな責任問題になってしまう事もありえる。


 そもそも責任問題と言っても、悪さを起こそうと企む輩が全て悪いのは大前提であるが、責任とは追及できる者の元へと降りかかるのが定石。


 各地の代表者も、それぞれ身辺対策を取る様に、と招待状にも記されている。

警護が必要なら予め申請を必要とするが、用意は十分にあると王は明言していた。


 問題はただその場を混乱させ、破壊するだけのテロの場合。


 以前に両国砦で戦った変異猿の様な存在が、もし自然のモンスターの突然変異ではなく、何処かの国による生体兵器であり、それを使った侵略戦争の初期段階だったとすれば、などと考える事は山積みであった。


 乱戦になれば、全ての人間を守る事は不可能。

現在、ギルダムの王都には、約七万人もの人口が存在している。


 式典に合わせてやって来る、各地の代表者やその従者達、

または、観光客や商人などで更に人は集中するだろう。


 軍を全て配置し、警備にあたるのはもちろんの事、厳選された冒険者なども導入する事も考えた。この事を書類にまとめ、その後、主催側へと提出する。


 豊達は、更なる後ろ盾を探す為に、式典までの間にギルダム王国を駆け回る事になるだろう。


 マリーゴールドの帰りを待つ事二日、寄り道せずに、真っ直ぐ最短コースを帰ってきたようであった。


「たっだいまぁ……! 魔装車の運転ってのはなかなかに疲れるぜ……」


「お疲れ様ですマリーさん。どうも皆さん、久しぶり……って訳でもないですね」


「ロシィ〜! 会いたかったケロ〜!」

「ルルちゃ〜ん! 私もだよ〜!」


「豊達から話は聞いている。貴様が黒鉄の竜巻と名高いギャリオンだな」


「雷の魔術師殿、話はマリーさんから聞いてます。今後とも、よろしくお願いします」


 握手を交わす二人であったが、ユピスの方はギャリオンの実力が知りたくて、

ウズウズしている様子だった。



「ユタカ! ギャリオンを借りても良いか⁉」


「ギャリオン、相手してほしいんだって。油断すると死ぬから気をつけてね」


「せめて日を改めて頂けませんかね……移動でクタクタなんですけど」


「何を言う! 黒鉄の竜巻ともあろう者が泣き言を抜かすな! 来い! 城の中に演習場があるからそこでやるぞ!」


「オレに人権がないのか……」


 マリーゴールド、ユピスともにギャリオンを好き勝手に扱っている

折角なので豊たちは、まとめた書類を式典の運営代表に渡すついでに、二人の試合を見る事にした。


 書類を運営に提出し、演習場へとやってきた。

このままやれば、死人が出てもおかしくないのでルールを設ける。


 武器あり、魔術ありの実戦形式だが、

ロシィとルルのプロテクション二枚を先に割った方が勝ちとなる。

炎剛竜の大爆発にもギリギリだったプロテクションを破るのは、

そう容易い事ではないので存分に戦えるだろう。


 周りにギルダム兵が集まり始める。黒鉄の竜巻と雷の魔術師、どちらが強いのか皆興味津々であった。豊が審判を務め、合図と共に互いの武器が交差される。


 初手、ギャリオンの竜巻斬り。

重量速度破壊力、全てにおいてユピスの上をゆくギャリオンであったが、この竜巻斬りには意外な弱点がある、それは【対象との距離が離れると無力化する】事


 大きく射程圏外に出てしまえば、竜巻斬りは難無く回避出来る。この技は、足を地に貼り付ける様に踏ん張る事で、剣に振り回されずに済んでいる。故に足の踏み込みによる大きな移動が出来ないのだ。


 竜巻斬りを中断し、速度を落とすと、ユピスの雷を纏った連撃が降り注ぐ。魔鉱剣を地面に突き立て、避雷針として防御し、雷撃を受け流す。回転から流れる様に、背中の撃鉄を構えて横回転で振るう。


 撃鉄の攻撃をしゃがんで回避し、一気に間合いを詰めて、ユピス渾身の一撃。


 僅かに滑り込ませた両手が、急所への衝撃を抑える。

しかし、捕らえた拳に捻りを加え、ギャリオンの身体を押し出す。


押し出された事で一旦距離を取り、姿勢を正すと、ユピスはガントレットのギミックを発動させる。


雷獣衝チャージボルト

特殊な作りのガントレットに電気を蓄積させ、命中の瞬間一気に放電するユピスの必殺技である。


 稲妻に例えられる彼女の速さについていけるのは、時魔術を持つ豊だけ


そう思われていた。


 ギャリオンはユピスの行動前に起こす、僅かな筋肉の予備動作を見ながら躱し、ガントレット部分に触らない様、的確で素早い回避を続ける。

その後、攻防は数分に渡り、お互いにほぼ無酸素運動状態が続く中


 振り終わりの撃鉄が受け止められられたのと同時に電撃が流される。感電を回避する為にギャリオンは、咄嗟に撃鉄から手を離してしまう。更にユピスの追撃が襲い掛かるが、ギャリオンはそれを拳で迎え撃つ。


 渾身の一撃が、クロスカウンターの要領で交差しぶつかり合う

身長によるリーチの差を、ユピスはガントレットで補われた事で可能となる一撃であった。


 二人ともプロテクションを同時に失い、戦いは引き分けとなった。


「オレに武器を使う隙を与えないとは大した腕だ、驚いたよ」


「貴様も優位でない素手での戦いで、私と分けるとは感服する。危うく二人目の夫を貰うところだった」


「はは、残念だったよユピス」


「改めてよろしくなギャリオン」


 再び握手を交わすと、周りの兵から二人に対して拍手が送られた。実力者同士の実戦訓練を間近に体験し、皆それぞれ感化され訓練に身が入るというものだろう。


「僕、あんなのに勝ったのか……」

 相性の差はあれど、一度ユピスを下していた豊は一人震えた。


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