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66. コスモライブラを求めて




迷宮での訓練を中断し、一行は女神フォルトゥナ助言の元


レベルを司る神である【コスモライブラ】に会いに行く為、情報を集めていた。


 パシリカはオリジンの名の下に、自由を求め、移住してきた民によって作られた多種族国家であり、信仰も自由な為、元々の種族の神を崇めながら、

オリジンも祀るという【二神信仰宗教制】が殆どであった。


【コスモライブラ】を崇めているのは、【巨人族】と呼ばれる大型の種族で

平均身長が二メートルから三メートルある巨体だ。


豊達の様な一般的な人類とは異なり、赤い肌で角持ちの【アトラ】と

青肌でひたいにも目がある、三つ目の【ギガント】など

一際目立った身体的特徴がある。


 ちなみにモンスターにも巨人は存在するが、この世界で人とモンスターの差は、知性、発声器官の有無、及び道徳性により、意思の疎通が可能かどうかにより判別される。


 例え、言語や身振り手振りなどでコミュニケーションが可能だとしても、ゴブリンやトロールなど、好戦的で、古くから他の種族を食料や繁殖袋としてしか認識していない、暴力的な部族が存在する種は【人類】として認知されていない。


 魔装車で角持ちの【アトラ】住む里を訪れると、物珍しさからか歓迎を受けた。

巨人族は自ら他の種族に対し、積極的に交流を深めたりはせず。


 必要な時、必要な分だけ、物々交換などの交流をするスタイルだったが、実の所、好奇心が強い為、他所から来た豊達は良い客人としてもてなされた。


 アトラ族の長、ストラトにコスモライブラについて話を聞くと、この時期、神に感謝を捧げる為、行なわれる催し物について聞かされる。コスモライブラの感謝祭は別名【戦祭】とも呼ばれる危険なもの。

 

特別な場で、アトラ族とギガント族の代表五人による、殴り合いの陣取り合戦が行なわれる。


 如何に耐久力に秀でた巨人族でも、その陣取りが年々激しさを増し

怪我人が出て来ているという。

 このままではいつか、死人が出てしまうという心配もあがっているが

レベルの神へと捧げる祭事である事と、巨人族が力を重んじる傾向にある故に、他の良い方法が思い浮かばず、両族共に行き詰まり、困っているとの事。


「ならば、安全かつ、お互いに力が出し合える競技にしましょう」


 豊が提案したのは【相撲】日本では神の為に執り行われる、奉納相撲などがあり、祭事でありながら、興行こうぎょうとしての役割も果たすことが出来る。


 それにより、里の外から人を呼ぶ要素にも発展でき、これを機に娯楽やスポーツとしての相撲競技を確立。この案が、力と戦略を重んじる巨人族の趣向にも上手く適合したのである。


 これにより、安全な新しい行事が生まれる事となった。抜群に耐久力のある巨人族ならば、相撲で亡くなる可能性は、少なくとも殴り合いの合戦よりはないだろう。


 相撲の存在は、すぐにギガント族にも伝えられ、協議した結果、祭事に導入される事となった。かなり早計な舵取りではあったが、決して巨人族の伝統を軽んじている訳ではない。それ程までに、今までの戦祭で重傷者が出ていたのだろう。


 豊は詳しい決まり事を、巨人族用に本と石碑に記して残し、神の祭壇前に土俵も【時を駆ける創造】で【大型建造】した。


 巨人族は、そのまわしの勇ましさと、力のぶつかり合いによる競技内容に大変満足し、程なくして相撲は受け入れられた。地面に足の裏以外を付けたら負け、という決まり事が出来たおかげで、気絶するまで殴り合いをする必要が無くなったのが、巨人達から喜ばれた。如何に屈強な彼らでも、以前のルール無用の大規模乱闘は厳しかったのだろう。


 そして数日後、両種族が見守る中、祭事としての相撲が始まった。


 アトラ族からは未来の英雄と期待の大きい戦士ガンデル。ギガント族からは一番の怪力である戦士グレイデルが代表として出場する。


二人共みっちりと相撲のルールを憶え、代表選を勝ち抜き、この日の為に練習を積んで来た。


 初めての祭事相撲に両陣営の気合いが入る。巨人族はまだルールに理解が浅い為、行司は競技者代表として、豊が執り行う事となった。


「はっきよい……!」


 両者互いの機がぶつかり合う。始まりと同時に歓声が湧く、力自慢同士の迫力ある取り組みが、むせ返る様な熱気を起こし、人々を昂らせる。


 ガンデル、グレイデル共に、がっぷりとまわしを取り組み合いながら力を出す。


 互いの力は拮抗していた。ガンデルが重心を低くし、力を込めると、グレイデルそれに対し瞬時に対応。力を受け流しつつ軌道を変え、やや左回りに攻め込んで行く。


 それに負けじとガンデル再び力を振り絞る。発達した筋肉と身体が音を立てながら

激しい熱を発し、力が交差する度に汗が飛び交う。


 グレイデルそれを好機とみなし、一気に土俵側まで押し出す。

その一挙一動に皆は心動かされ、いつしか大きな声が響き渡る。


『頑張れー! 両者互いの力を尽くせー!!』


二人が繰り出す激しい取り組みに、レベルの神、【コスモライブラ】は顕現する。


他の者には、ただ眩しい光が祭壇を包んでいる様に見えるが、豊達、フォルトゥナの加護がある者には、その姿がハッキリと見えていた。


【ズドーーン‼】


 大きな音を立てて勝負は決した。勝者は未来の英雄ガンデル。

土俵側まで追い込まれた際、もはやこれまでと思われたその瞬間、押された力を回転と引き込みによって、己が力へと変換。身体を入れ替え、グレイデルを土俵の外へと追いやった。


 決まり手は寄り倒し、寄り倒しによりガンデルの勝ち。

二人は健闘を讃え合い、光る祭壇へと祈りを捧げた。


『巨人族の強者たちよ。我が前に見事その力を示した。これからも我はそなた達の行いを見守り、この地の繁栄と平和を祈っておるぞ』


 豊はコスモライブラの言葉を巨人族の皆に伝えると、祭事の後に話を聞きたいという都度を説明し、神もそれを了承した。


 レベルの神は相撲に大変満足し、人々の安寧を約束した。



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