65. 成果とレベルの概念
地下迷宮での成果を確認し、休息をとる為一行は、マリーゴールドの別荘へと向かった。
ダンジョンキーを確認した際に、最高到達階層が三十階層に更新されていた。
図らずも深部への進撃が成された事で、三十階層まで転移扉での移動が可能となった。
レベル上げの成果を確認する。
豊+1、ロシィ+2、ルル+2
ギャリオン+3、マリーゴールド+1
という結果になった。
「一日潜っただけでこの結果だ。何日か効率良く潜れば、更にレベルアップは望めるだろうから、気合い入れて行こうぜ!」
豊は効率という点に関して、前々から考えている事があった。
「マリー殿、この世界にはレベルという概念により、人々の強さは命運付けられている訳なんだが……」
「どうした? またトンデモナイ発想か? 一応聞いてやる」
「職業や称号によって、レベルアップ時の能力値上昇値が変動したり技能によって補正が生じたり、効率が倍加したりなどの要素は無いのか?」
以前に豊は、称号【炎の料理人】の取得により【迸る煉獄】がアンロックされる経験をした。それ故の発想である。
彼の疑問に、しばし考え込むマリーゴールド。
「私にも覚えがある、確かに師の下で修行を積んだ際や、【金の魔術師】と呼ばれる様になってからは、技能の覚醒や能力値の伸びが良くなっている。ユタカの言う【称号】という要素には、何らかの向上補正が加算されている可能性があるかもしれない……」
「言われてみれば、オレにも覚えがあります。【黒鉄の竜巻】と呼ばれ始めてからはレベルカードに表示されていた技【回転斬り】が【竜巻斬り】になっていましたし、発動条件と威力が段違いになっていました」
「ロシィもルルちゃんと仲良くなってから強くなったよ〜!」
「ルルもそう感じるケロ。本来ルル達は【プロテクション】を使うような種族じゃないケロ、きっとロシィとの繋がりがあったおかげケロ!」
「マリー、歴史上レベルって、最大値が明らかになった事はあるのか?」
「昔読んだ文献には、オリジン大王がレベル九十八であった事が記されていた。私はこれ以上の高レベル者の情報を持ってない」
「二千年生きた人物が、九十八止まりという事は……。僕たち人間の限界はひょっとしたら早いのか?……コレはもしかしたらまずいかもしれない……。向上補正に成り得る条件が明らかになれば、低レベルからの効率化が可能になるか……? 一旦レベルアップ作業は停止するべきかもしれないぞ」
「またしてもユタカには固定観念を覆されたな……オリジン大王はこの事に気が付き二千年を生きた事で、亡くなる際に神になったのかもしれん。きっと他にも要素が隠されているに違いないだろう……!」
「うーん、そうなるとオレ今回は三もレベルアップしちゃいましたよ。何だか勿体無かったかなぁ……」
「私が知る限り、レベルが下がるなんていう事象は未だ嘗て発見されていないが、絶対に存在しないという確証もない……何か要素があれば良いのだが……」
発案が止まり長考をしていると、もはや聞きなれた通知音が響き渡る。
【プルルル……プルルル……ガチャッ、あっ、女神様丁度いいとこに】
黄金の受話器が神々しく顕現する。
『なになに? 丁度? 私の噂してたり? 絶世の美少女神とか?』
「女神様の外見からなら分からなくもないですが、今はそういう話ではありませんですぞ」
豊は、女神フォルトゥナに世界における、レベルの概念に対して、疑問を投げかけた。女神はその辺りを世界を創る際に設けた、レベルを司る神【コスモライブラ】に一任していた為、詳しくは知らない。【称号】や特殊な技能による、レベルアップ時の能力値の向上補正については明らかになった。
「やはりユタカの考えは正しかったようだな、こうなれば技能の開花と称号の取得を行い、レベルの概念を確立させてから鍛えた方が良さそうだな」
『コスモライブラは今のところ、一部民族の間でちゃーんと祀られているから、直接会いに行ってきたら良いんじゃない? 私の使徒だったら顕現してくれるはずよ』
「女神様って、やっぱり女神様だったんだなぁ……!」
『何よそれぇ! 私に威厳がないみたいじゃない!』
『フォルトゥナ様、お時間ですよ』
フォルトゥナの背後からリアーラの声が聞こえる。
その感情が込められた声から察するに、相当数の仕事が蓄積している事だろう。
『おっ、ヤッベ! ちなみに今は十四パーセントまで回復したわ。それじゃあ引き続き頑張ってね〜〜!』
【ガチャ、ツーツー……ツーツー】




