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62. 世はまさに大探索時代


 豊が手早く【時を駆ける創造】で装備を仕立てると


ルルの装備

【そよめきのマント】【生命湧き出すリングベルト】

が完成する。


マントはロシィの分も作り

【高速のマインゴーシュ】も

ロシィに持たせた。


「「ありがとう‼」」

 無垢な感謝と装備の出来に豊も納得し、

その後、防具屋で新しい豊の鎧を購入した。


 ジェネイラであしらえ、気に入っていた炎蛇ファイアサーペントの革と

熱蜥蜴マグマリザードの鱗で仕立てた紅の鎧にも劣らない。


 火炎蜘蛛フレイムスパイダー紅蓮蠍レッドスコーピオンで作られた紅の鎧は、痩せてしまった豊の身体に、丁度良く馴染んだ。


「えらく金は飛んだけど、このカッコよさには抗えないんじゃ……」

 ジェネイラでかなりの大金を設けていたので、ここに突っ込んだ。

豊は、子供の様な純粋無垢な眼差しで己の鎧に見とれている。


買い物を済ませた一行は、ダンジョンへと向かう。


 先程も目の前を通過したが、ダンジョンの前には、

宿屋、酒場、食料雑貨に換金屋まで揃っていて、

昼夜問わずに賑わいを見せている。


 地下迷宮入り口前は、非常に混雑しており、一組ずつ時間を空けて出発する。

その列に並ぶのかと思いきや、一行は入り口の側面へと周った。


「私達はコッチだ、ワザワザ一階から攻める事もない、人がワンサカいるしな」


「ダンジョンの醍醐味をあっさりと否定するところがマリーらしいですぞ」


 側面にある入り口から脇道に入り、現れた金色の扉の前に立つ。

「ココから【迷宮転移鍵ダンジョンキー】を使って入る。試しに十階層から行くか……到達平均レベルは七から八だから大丈夫だろう。そんじゃ行くぜ」


 マリーゴールドによって、迷宮の転移扉が開かれた。

内部は冒険者への配慮として、休憩所セーフティエリアからのスタートになる。


「浅い各階層には必ず休憩所が存在する。帰り道、調理場、トイレなんかも用意されている。弱っちい冒険者を食っても身にならないからな」


「育ててから喰うだなんて、まるで畜産家みたいだな……」


「さながら、オレ達は迷宮の家畜って事ですかね……恐ろしい所だ」


「コラお前ら、サッサといくぞ。ロシィは危険感知をしておけ、一応十階層だからな私から離れるなよ」


「はーい!」


 各階層には、エリアボスが存在し、階段付近を徘徊していて、倒すかどうかの選択を迫られる。ボスは探索者を深く追跡しないので、そのまま無視して進んでもいいが、疲れて帰ってきた時に遭遇すると、悲惨な目に遭う。


「抜け殻鎧の大群だな。あいつらは動きが単調だが、連帯感が強い。丁度いい……乱戦の経験を積んでおくぞ。連携の訓練にもなるしな」


【抜け殻鎧】

中身がないが、鎧だけで動く魔物。

魔力で動いていると思いきや、鎧の隙間に住み着く軟体生物が複数合わさって形成されている、関節が弱い。集団で行動し、一定数を倒すと大将が現れる。それを倒すと皆逃げていく。


 一行は、陣形を整えて戦闘に備える。

「ではロシィ、ルル、マリーを中央に、ギャリオンと僕が前後を守る陣形で良いかな?」


「少しずつ私達に敵を流せよ、訓練にならんからな」


「わかりました、じゃあとりあえず先頭はオレが切りますね」


 ギャリオンが抜け殻鎧達に突進していくのに続き、戦闘は始まる。


 魔鋼剣による薙ぎ払いでまず三体。

続け様に撃ち払いで二体を仕留めると、ゾロゾロと抜け殻鎧が集まってきた。


「第二の術、第弐派生」

【ヘイストギア】


 まずは、一速で様子を見ながら戦闘を行ってゆく。

一気に襲いかかってくるのは三体までであり、それ以上になると相打ちになるのが相手もわかっている様だ。的確に関節部分に刃を入れて、軟体生物の筋を切ると、鎧は力無く崩れ落ち、迷宮の地面に吸収されていく。所謂、魔力の循環だろう。


 ロシィもそれを後方から観察し、動きを学んでいる。

豊の合図で、一体を彼女に流すと、短剣を使いこなし、要領良く撃破。

その様子を確認した後、続けて追加。コレを繰り返し、訓練とする。


 ギャリオンも、マリーゴールドの様子を確認しながら敵を流す。


 ロシィの剣術とは違い、体術を用いたマリーゴールドの戦闘スタイルは、動きに無駄がなく、舞うように軽やかで、隙あらば容赦無く魔術を対象に打ち込む。


 ギャリオンに追加を要求しながら、今相手している十五体目を破壊すると、金の魔術師は、それをその場で黄金へと変えていく。


 数にして五十体程、鎧を打ち倒した辺りで、一回り大きい鎧が姿を現した。

「どうやらアレが大将の様だな、行ってこいロシィ!」


「はい!」

マリーゴールドの言葉で、ロシィは勢いよく地面を蹴り、飛び込んでゆく。


「センパイ頑張ってください!」


「ロシィ! 無理するなよ!」


 周りの鎧は静まり返り、大将との一騎打ちが始まる。

肩に乗ったルルにサポートをされながら、ロシィは短剣と高速のマインゴーシュを構え、立ち向かっていく。


 そよめきのマントを翻し、連撃を繰り出すと、相手はそれを盾と鎧の厚い部分で受け流す。


 鎧の関節部分にある、軟体生物の筋に狙いを定め、再び短剣からマインゴーシュへのコンビネーションを繰り出す。響き渡る掛け声と共に、小さいながらも力強い連撃が放たれた。


 鎧も負けじと剣を振るい、ロシィへと薙ぎ払い、斬りつけ、振り下ろすが、

そよめきのマントが回避を助け、マインゴーシュが剣の軌道を上書きする事数度、

地面深くにそれは突き刺さり、鎧の動きを鈍らせた。


 その好機を逃す事なく、透かさず二刀流による速度を乗せた回転斬りが、鎧の両脚の裏側を捉え、膝を付かせた後、鉄仮面を首から吹き飛ばし、トドメを刺す。


二刀流剣士、ロシィの誕生である。

「よくやったなロシィ〜〜!」

 豊が彼女を持ち上げ、喜びを露わにする中、鎧達は大将の敗北と同時にぞろぞろと撤退していった。

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