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57. ケロッと始まる第三章


突然ですが皆様にお知らせがございます。


「ルルちゃんが喋れる様になりましたぁ〜〜‼」


「みんなとお話出来るケロ〜〜!」


「なんてこった、癒し蛙が喋るだなんて……きっとアレだな……」


「知っているのか、マリー!!」


マリーゴールドは手持ちの魔導書を開き、今回の出来事を解説した。


「ネクタルの文献を探っていた時に出てきた。古代エイジミア文明の書物によると、ネクタルの材料となった神話の果実、【アンブロシア】は、知恵のリンゴと呼ばれていてな、口に含むだけで知性を授かると伝えられている。恐らくはその伝承の影響を受けたのだろう。これもまた、ユタカの魔術に概念そのものが誘引されたに違いない」


「これからはたくさん、ロシィちゃんとお話できるケロ〜!」


「ルルちゃん声も可愛い〜! ぎゅ〜!」


「ロシィちゃん苦しいケロ〜」


「ルルちゃんが嬉しそうで何よりです、これからも戦闘支援お願いします!」


「ギャリオンちゃん! ありがとうケロ〜!」


「まぁ、ルルが喋る事で戦略の幅も広くなるしな、改めてよろしく」


「マリーちゃんもありがとうケロ!」


「お前……私の事ちゃん付けで認識してたのかよ……!」


「マリーちゃんは可愛いから、マリーちゃんケロ〜!」


「ちっ……しょうがねぇなぁ……勝手にしやがれ」


「満更でもないマリーなのであった」


「テメー! ユタカ! 勝手な事抜かすんじゃねぇぞコルルァ‼」


「照れ隠しくらいで、僕の首を締めるのはやめてください! 冗談じゃなくとも死んでしまいますぞ! ンアーッ‼」




 ギルダム王国のタリアより、さらに西に位置する

港町リパランス。


 バシリカへ向かうにはここから、

船に乗り、長い航海をしなければならない。

しかし一行はこの港町で足止めを喰らっていた。


「船が出せねぇとは参ったぜ……。しかも理由が海竜クラリィクとはな、誰も船を出したがらないわけだ……」


【海竜クラリィク】――――――――

攻殻竜と呼ばれる海の覇者

年に数度リパランス近海に現れ船を沈めてしまう巨大な竜

体長は30メートルを超える

――――――――――――――――


「私の知っている話だと、クラリィクは魚量の調整の為、禁漁期間内に海に現れた船を沈める竜だ。他の地域では神と崇めてるとこもあるらしいな」


「えっ、今って禁漁なんですか? この時期は、カイナッツが美味い時期なんじゃ……」


「へぇ、詳しいね。ギャリオン」


「一度、出稼ぎで来た事があるんですよ。カイナッツを食べたのが、この時期だったはずなんですけど」


「その通り! 今はカイナッツに脂が乗る一番美味い時期だ‼」

突如声を発したのは、白ヒゲをたくわえた如何にも漁師の老人であった。


「例年なら今頃は、漁を解禁する時期だってのにクラリィクときたら、未だに海をウロついてやがる、日に何度か牽制に来るから海に行く奴は居ねえが、こちとら商売あがったりだぜ!」



 豊が老人に心当たりを聞くと、

なんでも、リパランス以外の船が、解禁前に大量の密漁を働いたせいで、

クラリィクが、解禁時期を大幅修正をしているという話が有力だそうだ。


 普段クラリィクは、複数ある海域を季節毎に巡回し、魚量の確保に努めている賢い魔物だ。が、意思疎通が可能ではないので、お伺いを立てながら、長い間、人間達は共存をしてきた。



「それは、貿易船や客船なんかも襲うんですか?」


「密漁を咎められたどっかのバカな国が、クラリィクに反発し、海賊どもを率いて退治しようとして以降、禁漁期に船を見たら手当たり次第に攻撃して来る様になったんだ。シャレにならねぇ……」


「流石に迷惑すぎるんだよなぁ……」


「そのくせ自分たちは、【国は何も関与していない】とシラを切る太々しい連中だ。国民の不始末は国の責任だろ……‼ よったく……おっとすまねぇなアンタら……愚痴っちまって……解禁まではまだしばらくかかりそうだから、ゆっくり観光でもしていってくれや……! じゃあな!」


老人は一通り事情を話すと、網の手入れに戻っていった。





「どうしますか? いきなり出鼻挫かれたんですけど……」


「うーん。今回の事例だと、クラリィクは全然悪くないですから、力技で退治という訳にもいかんですぞ……」


「マリーちゃん。ほかに道はないの?」


「無くはない。だが東から行くとなると、山岳地帯がぶつかるし時間もかかるからなぁ……めんどクセェし……」


マリーゴールドが思案を巡らせていると予期せぬところから

予期せぬ提案があげられた。


「ケロ! ルルがお話してみようか?」


「「出来るの⁉⁉」」


「クラリィクってのが頭の良い種族なら、話は出来るケロ!」


「ルルちゃんさすがぁ〜!」


「流石ですルルちゃん!!」


「海の神様って言われてる竜だ、話くらいはしてくれるだろ!」


「話せるかはさておき、問題はひとつある」




「「船をどうするか」」



豊とマリーゴールドがハモった。


「いっそ船を買うか? って言っても……流石に私も、魔装車を乗せられる程の船を買い切る金は今持ってないしなぁ……」


「ごしゅじんさまの力で、船は作れないの?」


「恐らく小型のなら出来るけど、海を渡る程の船は作り方が分からないしなぁ……ちらっ……」


「……私を見ても無駄だぞ! いくら天才の私だって、流石に畑違いの造船技術は持ってない!」


「造船技術のある人を【時を駆ける創造】の【補助】に入れたらなんとかなるかもなんだけど……そう都合よくは……」



「それなら、リパランスにある造船所を当たってみましょうか? オレ、何か所かわかりますよ」


「造船所……造船所かぁ……私に心当たりがなくも無いが……」



 リパランスで唯一、造船所を持っているのは、加工産業で莫大な利益を生み出している、大金持ちで有名なボルリッチ家である。現代で言うならば財閥であり

造船技術、馬車技術、金属加工技術などを一子相伝で独占している貴族である。


 ボルリッチ家と面識があるということで、マリーゴールドは造船技術を持った技師を貸してもらう為、屋敷を訪ねることになった。


 その間、豊達は宿で待機となった



――――――――――――――――



「お久しぶりです。金の魔術師殿、二年ぶりですかな? 何の前触れなく、私の屋敷を訪ねるという事は、急ぎの金儲けのお話で……?」


 如何にもな富豪の主人が【カネスキー・ボルリッチ】氏

豪華な貴金属を身に纏った豊満な身体は、名は体を表すを素で行く人だ。


「カネスキー、貴様私にいくつかの借りがあったよな?」


「はっ、はい……! あっ、それは……何をご所望でしょう……?」


「造船技術を持つ人間を貸せ」


「造船技術だけは! それだけは‼」


 必至になるのは当然だろう。造船設計の知的財産は計り知れないものがある。

技術の流出は即ち、財閥の崩壊にまで繋がる要素なのだ。


「なぁにほんの少しの期間だけだ、図面等はちゃんと返す……!」


「そう言って貸した馬車の図面が、返ってきていないではないですか!!」


「そうだったっけか? 作業中に不慮の事故で失くしちまったから、新しく完璧なのを描いて渡したじゃねぇか……」


「図面は良くても、注釈や解説文が古代エイジミア語と旧パシリカ語で書かれたものでは私共は困るのですよ! アレにどれだけの金と時間がかかったか……」


「悪かった! 悪かったよ! そう怒るなって、また金を融通してやっからさ」


「……どうしてあなたという人は……仕方がありませんね……ではウチの空いてるので……」


 二人が話をしていると、廊下の方からバタバタ駆け寄ってくる大きな足音がした。


「パパ!私が行くわ!造船技術なら任せて!!」


 扉をブチ開けて入ってきたのは、似ても似つかぬゼニスキーの娘だった。

オレンジの髪を2つに結び、汚れまみれのツナギで応接室にやってきた。

「私アニス、造船技術者よ! よろしくね!」


「アニス! 勝手に話を進めるな! 大事なお客様だぞ! あぁぁ……カーペットまで油で汚しおってからに……」


「ほう、ゼニスキーの娘か……ボルリッチ家の技は一子相伝、期待出来そうだな」


「金の魔術師殿……何を……」


「アニス、お前に私の船を作ってもらう‼」


「やったぁ‼」


「あぁぁ……なんて事を……」


 諦め顔のゼニスキー氏を抑え込み、

その娘アニスが、造船技術者として協力する事となった。



三章一気に投稿します

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