表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/254

52. 暗雲





豊とマリーゴールドが倒したはずの大猿が

未だ消えぬ炎を身に纏いながら、両国砦内を通過してきた。


激しい炎を振りかざし、人の波を掻き分ける。

度重なる連戦により、兵達に余力は残されていない。


大猿は、ギャリオンが倒したバラバラの片割れに目をやると

猛突進して死体まで駆け寄り


【食べ始めた】


ガツ、ガツ、バリッ、バリッ

モシャモシャ、グジュ、ミチュッ


不気味さと不快さを漂わせ

一心不乱に同族を貪り喰らう大猿


おぞましい情景を目の当たりにし

皆が呆気に取られている中、一足早く我に返った豊が声をあげる。

「ギャリオン!マリー!いけるか!?」


「やるしかありません!」


「死に損ないが……!さっさとぶっ殺してやるぜ!」


一斉に大猿へ飛びかかる3人

次の瞬間。



【バシュウゥゥゥゥゥゥ!!!】



轟音が響き渡り、それと同時に大猿の身体から高熱の蒸気が噴き出した。

3人は蒸気の勢いと熱量に為す術もなく吹き飛ばされる。


「アッ!!ツゥイ!!」

「くっ!コレでは……奴に近寄れません!」

「魔力を秘めた防壁蒸気か……あれに魔術は効かん……ユタカ!ニギリメシを私とギャリオンに渡せ!魔力と体力が足りん!先に食った私達がなんとか時間を稼ぐ、その間に魔力を溜めてデカイのを落とせ!」


「わかった!」

すぐに【過剰なる糧】でおにぎりを出し2人に渡す。


「ムグッ!アグッ!ギャリオン、私の拘束魔術は大して長くは持たん!全開で倒しに行けムグッムグッ!」


「バグっ!分かりました!モグモグモグ!ゴクン!」


蒸気は次第に納まり、【食事】は同時に終わった様だ。

急いで豊とロシィもおにぎりにかぶりつき、お茶で流し込み

豊は続けてカツ丼とコーラを追加した。



大猿の身体が変化してゆく

骨格、筋肉、体毛がみるみるうちに膨れ上がり、ふた回りも大きく変化した

膨張した筋肉繊維に押し出され、大猿の皮膚と体毛が浮き出る

 歩を進める度に大地は抉れ

異様な闘気はまるで陽炎のように、空間が歪むような錯覚に陥る

 その瞳はこの場にいる誰よりも強く光り

生命体としての格の差を示している様も見られる。


魔獣は体内に蓄積している魔力量が多く、何らかの形で摂取することにより

強固な肉体へと成長と遂げる。本来なら他種族を捕食することによって

成長を促進させることがあるが、今回は同等の魔力を秘めた同族の捕食だ。

それは化学反応の様に、強い力を発揮させる事となる。


「大地よ我が命に従い、かの者を束縛せよ【デュアル・レストバインド】!」


大地から硬化した土が突き出し、大猿の動きを封じる。

それと同時にギャリオンが爆発的な突進からの一撃

「でぃやぁぁぁぁぁっ!!」


ズグッ……!!


体重と勢いの乗った刺突だった。

弱点となりえる箇所が集中している急所、顔を的確に狙い

これ以上ないタイミングで繰り出されたギャリオン全力の一撃を

なんと大猿は【歯で受け止めた】


「なっ……ぐわぁぁぁぁっ!」

大猿に剣ごと振り回されたギャリオンは吹き飛ばされ

木に激突した後、そのまま崩れ落ちた。


「「ギャリオン!!」」


「ユタカ!拘束が解ける!早く!」


「第5の術ぅぅぅ!!」


豊が大猿に向かい飛び出す。

必要な工程を完了し、後は魔術を放つのみであった。


「【怒りの鉄槌】!!」



具象された鉄の巨人が鉄槌を振り下ろす

威力、速度は最高値に達し、この上ない完成度だ

この術は豊の怒りに比例し、飛躍的に破壊力が上がる。


「喰らえぇぇぇぇ!!!」




【バギィィィン!!!】





刹那


炸裂音と共に、マリーゴールドの拘束魔術は破られ

豊への強烈な打撃、これにより

【怒りの鉄槌】は軌道を変えられ



【受け流された】




それと同時に恐るべき速度で

痛恨の一撃が目の前の豊を襲う。


たった一撃で、纏っていた鎧は全壊し

転がされた先で、骨と筋肉に看過しがたい衝撃が走る。


「ぐがぁぁぁぁっ!ぁぁぁぁぁ!!」


大猿の一撃を喰らい、致命傷を負う豊は

あまりの激痛に悲鳴をあげる。

 その様子に、マリーの詠唱は止まり呆然と立ち尽くしてしまう。


「なんて事だ……!こうも容易く!」

「ごしゅじんさまっ!今治すから!」

立ち尽くすマリーゴールドをよそに

豊へと駆け出してしまうロシィ


「ダメだ!ロシィ!動くな……!!」





大猿がロシィ目掛けて



跳ぶ




「「やめろぉぉぉぉぉ!」」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ