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42. 王国からの使者




豊はルーティーン家に招かれていた。

ビットマン氏から話を聞くと、王が村の復興の件は了承した為

使者を送り視察をさせてほしいとの事だった。


要件を済ませると久しぶりのルーティーン家でハイネやアンリエットたちと過ごし

再び村へと戻った。


居住区にあらかじめ大きく取ってあったスペースに公園を作る事にする

中央には噴水広場を作り、村人の憩いの場を提供しようというのだ。


豊は【時を駆ける創造】を実行し、遊具を用意する手始めに滑り台

ブランコ、ジャングルジムを木で作り


更にはベンチも複数用意した。雨にも強い液体で表面を加工し

安全面と耐久性を視野に入れつつ、着々と準備を進めてゆく


思いつく限りの遊具に砂場とポンプ式の水道も設置し

次々と公園の設備を充実させる中、通告されていた通り王国から訪問者が訪れた。


 

「私は金の魔術師、【マリーゴールド・タッチアップル】だ。貴様が教団の代表だな、知らせは来ているとは思うがしばらく厄介になるぞ、よろしく頼む」


金の魔術師を称号に持つ彼女

マリーゴールド・タッチアップルは

8つの時に魔術師ギルドにレベル申請をし

天才的な才能を開花させ

物質魔術、錬金術のスペシャリストとして

今王国で専属魔術師を勤めている。


現在は16歳、短く揃えた金髪に金の眼

トレードマークのビックハットを浅く被り

顔はよく確認出来ないが、可愛らしい顔をしている様に見受けられる

彼女は己の低身長を気にしているのか厚底のブーツを履いており

その厚さは少なくとも6センチはあると思われる。


豊は友好的に挨拶を交わそうと試み、笑顔を向けるが

それだけで彼女の興味を引く事は叶わなかった。

「フォルトゥナ教団代表、ユタカと申します、どうぞよろしく」


握手を交わすとマリーゴールドが豊を観察する様に見つめ

自然と握った手に力がこもるのを感じた。

彼女から伝わる感情は警戒や歓喜など複雑な印象を受ける。


「貴様、恐ろしい魔力を秘めているな……体内に魔竜でも住み着いているのか……?」


手の平から血の流れの様に感じる魔力の流れ

それが互いを引き合わせる様な感覚が伝わってくる。


「分かる人には分かるものなんですかね?魔力総量なんてものは」


 彼女が手を離すと何事もなかったかのように会話は再開される。


「まさか、私の様な天才でなければそんなもんわかるはずもなかろう。それにしても村の中に庭園を作るとはなかなかに酔狂な趣向だな」


「人々に公共空間を提供する事で適度な運動をさせ、健康管理や不満の発散をさせるのが狙いです」


「察するに民衆の教育に力を入れていると、そういう事だな?貴様はこの国の王より賢明だな。その魔力を基盤とした壮大な資源なしでは実現できないことではあるが、未来を見据えている。民衆こそ国の宝であり価値ある資源でもある、豊な教養は争いを避け、論理で人を抑し効率よく御することが出来るからな……」


「さすがは金の魔術師様、理解が早くて助かります」


「貴様、優れた人材を育成し国をひっくり返す算段をしているわけではあるまいな?」


「まさか、僕はただ人々が幸せに暮らせる様に手助けをしているだけです」


「……この器の大きさよ……王には問題ないと書状を出そう、私はしばらく貴様を観察したい、構わんな?」


「構いませんよ、ただ少し金の魔術師様にご相談がありまして……」


「いいだろう、聞くだけ聞いてやる」



豊が話をしたのは魔術動力源の開発とその利用であった

この世界にはまだ電気が発明されていない

一から発明をするとなるとかなりの時間を費やしてしまう


しかし魔力核で活動をするマッドロンやガンロックを目の当たりにした豊は

魔力を魔術に変換する概念があるならば魔力を動力に変換した動力源が作れないかと考えた


既に試作、実用している例があるのではないかと考え

物質魔術の天才であるマリーゴールドにその思惑を伝えた


「ほう、ロビエト国が秘密裏に試作している魔導炉心を自ら考えつくとはな、結論から言うと私なら可能だ」


「僕はそれを開発し実用化させたいのです」


「何のために?戦争でもするのか?」


「ご冗談を……そうですね……動力さえあれば出来ることはたくさんありますよ、例えば物資を大量に運ぶ事の出来る馬車に取って代わる乗り物とか……ね」


どの時代においても物の流れ、流通は切っても切れない関係にある。

蒸気機関に変わる動力の開発に成功すれば市場を始めとし

様々な分野で飛躍的に進化を望めるだろう。


更には技術発展による労働時間の短縮や、休暇概念の一般化

これらを早期に実現することで民衆の【自由時間】を作り

村人たちのゆとりを確保し、教養を高め、倫理や道徳へ向き合う機会を増やすのも

目的の一つとしている。


「ふむ……なかなかに面白そうだな……条件次第で手伝ってやる」


マリーゴールドが出した条件は、村に彼女専用の自宅兼研究所を構える事と

毎日の美味い飯だった。


いつの間にかフォルトゥナ教団の炊き出しは世界で一番美味い炊き出しと

各方々でも噂になっていたのだ。


条件は満たされ、しばらくの間

マリーゴールド・タッチアップルは北の村に滞在することとなる。



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