41. 使えるものはなんでも使え
レーヌと協力して豊は大鋸や器具を作っていた
【時を駆ける創造】の補助能力を利用し
頑丈、長持ち、効率生産が行われる。
この能力は豊が側に存在し、なんらかの形で製作に携わることで効果を発揮する。
今回は鍛造の助手を務め、次々と器具が作られてゆく
それらを使い、伐採を効率的に行うと同時に
森林の管理も実行した。いくら復興に材料が必要と言えど、無計画に伐採を行えば動物や魔物が住処を失いかねない。
自然を破壊し過ぎないように植林を行い
未来を見据えた計画が始まる
「私達は自然に生かされている身だから、貰ってばかりじゃあダメなんだよね」
「その通りです。が、現実問題このように復興にはかなりの木材が必要になります。自然に感謝して恵みを賜りましょう」
作ったばかりの鋸を豊とリカンナで扱い
追い口を作る、鋸は滞りなく木に入っていく
「斧より力が必要ないから楽だねぇ……!すごいよこの鋸ってやつ!」
磨製石斧を主とした村出身の彼女にとって鋸は真新しい道具らしい。文明の度合いからして鋸が存在していてもおかしくはないのだが、全ての情報が山奥の村にまで行き渡っていると思う方がおかしな話である。
「リカンナさん、一旦止めますね」
半分切らないくらいで楔を打ち込み
鋸が挟み込まれるのを防ぐ
「なるほどねぇ、斧とは勝手が違うんだ……木を傷付けにくいし、なによりも振りかぶる力がいらないのが助かる」
「更に反対側を斧で切るときと同じ様に斜め切りから……のこう」
角度を調整して受口を作る。
これで木の倒す方向の調整が可能だ。
鋸により短い時間で大木が伐採出来た。
続いて枝を切り落とし2人で担いで荷車に載せる
これを数度繰り返し木材を確保した
森からはそう距離が無い為、村に運び込んで加工する
「遠くはないものの、これならば森の入り口に加工場と保管庫を作るべきでしたかね……」
「それは追い追いやっていこうよ」
豊は第4の術を発動させる
【熟練度が上昇しました、能力がアンロックされ性能が向上します】
【効率5倍】
【速度5倍】
【廃材再利用】
【以上が追加されました】
「いいタイミングだな」
「ユタカ、効率5倍って事はどうなるんだ?」
「おそらくは木材を製材にすると5倍に増えるという事です」
「……?じゃあさ、木を普通に切って木材を処理したらどうなるの?」
「やってみますか……」
豊は試しに木材を切る際の意識を
【長さ10の木から長さ9の木を加工して作る】と認識させて木を切った
すると【長さ9の木材が5本出来た】
つまりは材料無しに
長さ40分の木材が生まれた事になる
「コレどうなってんのさ……」
「僕にもわかりません……」
更にその木を製材に加工する際
切り取る部分を最小限に留めて切ると
一気に5本の製材が完成した
やろうと思えば
「100の長さの木を99にして切る」
すると
「99の長さの木が5本出来る」
さらに
「99の長さの木を98にして切る」
と
「98の長さの木が5本出来る」
ゲームの仕様の裏をかいたバグの様な手段だが、自然の木を切らずに大量の木材を得ることができた
この能力を活用し、必要な分を製材にしてゆく
結果、金策にも目処がついた。
資金が底をつきかけていた豊は此れ幸いと
ルーティーン家が贔屓にしている商人と知り合い、木材の売却をする
必要ならば製材加工も実行した
木材はいつの世も需要があり
買取手はいくらでもいるとのこと
これからは徐々にフォルトゥナ教団の資金は潤沢になっていくだろう
そう思われていた。
この手法を使い、木材を無限に増やせるのか、実証実験を行ったところ
急激な空腹の後、寝床で目を覚ます事になったのは言うまでもない。
診断結果は、【突発的な魔力欠乏】であった。
バグかと思われた仕様であったが実は
知らず知らずのうち、足りない木材部分を
蓄積された豊自身の魔力で補っていただけの話だった。
以前リレイン村で体験した土嚢の効率化と同じである。
この世界において魔力も物理法則の一部とされており
やはり無から有を生み出す事は基本的に出来ないのだろう。
しかしながら、急激な生産と消費を繰り返す事により
豊の魔力総数は確実に成長を見せていると言える。




