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40. 北の村復興計画②




過剰なる糧より生まれた粥により、村人達は皆気力体力に溢れ、張り切って復興作業に勤めていた。

自給自足の要となる畑は早々に完成し、着実にその範囲を広げていき、その上で豊は現段階で改善できる農業方法を徹底して皆に理解させた。


続いて住人それぞれに役割と責任を与える

個々の得意な事を見つけ出し

それに沿った内容の仕事を与える


教養があるものには村の帳簿管理を

力のあるものには整地

指先の器用なものには縄作りや柵作り

単純作業が向いているものには周囲の草刈りや水汲み、薪集めなどの雑用を与える。



一人一人が責任を持ち懸命に働いて今日の糧にありつく。今後彼らが、この村で長く生きていく事を考慮し


無尽蔵に食料を生み出すことが可能な【過剰なる糧】の目立った乱用はせず、材料は豊がハガンカで仕入れたものを提供し村の女性達が腕を振るう

ただし粥だけは皆が満足する様に米が使われている


かつて住む場所を追われた人々にも少しずつだが笑みがこぼれる等変化も訪れていた。

「やっぱりユタカ様の作るメシは最高だぜ!」

「身体が温まります、本当に生きていてよかった」

「おかわりをお願いしますユタカ様!!」



「たくさん食べて明日も頑張りましょう、はい、おかわりまだありますよ」



豊は村人からユタカ様と慕われていた。

子供から大人まで惹きつけるカリスマ性は

現代にいた時よりもさらに磨きがかかってきている様に見える


村を復興させようと奮闘する若きフォルトゥナ教徒の噂はハガンカを起点とし徐々に広がっていた。


豊は居住区より少し離れた場所に、第4の術を用いて毎日少しずつ共同浴場の製作に取り掛かっていた。

目的は主に衛生面の改善を行うためだ。


石の下地に建築を行なっていく

まとまった数の釘がないので木材に溝を加工し組み立てる日本式の建築を取り入れていた。



耐久性、耐熱性、大きさを考慮して石で風呂を作り

土と粘土で排気口など必要な装置を設置

石と粘土、ガンロックの素材でボイラーを作った。

構造は古代ローマを参考にしている。


「コレで……みんな風呂に入れるな……疲れた……」


みんなに水汲みと薪割りを手伝ってもらい風呂を沸かす。


この世界では【風呂を沸かす】【お湯を張る】行為は手間や燃料の観点からかなりの贅沢である。

普段一般人は水で身体を洗ったり良くてお湯に付けた布で身体を拭く程度の衛生管理しか出来ない


入る前に正しい手順で風呂の礼儀を叩き込み、村人全員を風呂へ入れる。

皆初めての風呂に満足し

新しく配給された衣服を着て眠りについた。


その後豊自身も心の洗濯をする

明日は何をしよう、何から手をつけるか思考を巡らせる。休む暇などない位にやる事は山積みであった。





豊は村に来てすぐ保護していた生き残りの葡萄の樹を手入れしていた

ロシィの両親の話によると

元々この村では葡萄酒が作られていたらしい


それを新しく来た元果樹農家の移民に任せる事にした

しばらく手入れされていなかったが幸い病気はなく

少ないだろうが葡萄の収穫は望めるだろう

すでに葡萄は実り始めていた



「数は多くはありませんが葡萄酒は作れそうですね、今から楽しみです」



試しにマッドロン製肥料を少し与えると

果樹は少し元気を取り戻したようだ


土に混ぜる量を試行錯誤しながらマッドロン製肥料の実用化は着実に進んでいた。


更に数日後、ロシィとギャリオンが物資と人材を乗せて帰って来た


「ただいま!ごしゅじんさま!」


「ただいま戻りましたユタカさんの計画通りに事は進みましたよ」


ピョンピョン!


「おかえり、無事で何よりだ」


ロシィとギャリオンの後ろからひょっこりと知った顔が現れた。見覚えのある赤い髪の女性だ。


「話はギャリオンから聞いたよユタカ!久しぶりだね!」

「お久しぶりですリカンナさん」



複数の建築家を連れて現れたのは、おばけ大樹の件で知り合ったきこりのリカンナであった



「この時期に仕事をくれるなんてありがたい話さ、前金も頂いたし私も大工仕事は出来るから期待していいよ!」


彼女が自信ありげに胸を張ると赤い髪が揺れ、鍛え抜かれた腹筋が服の間から見え隠れする。


「期待してますよリカンナさん」

続けて顔を見せたのは水の魔術師

「ユタカ、来てやったゲロ」


「よく来てくれたゲッゲーロ、お前の水魔術期待してるからな」


「水路なんかすぐ出来るゲロよ、任せるゲロ、報酬は沢山の銀貨とお前の料理でいいゲロ」


「わかった、用意しよう」


「ユタカさん、おじいちゃんは忙しいので私が来ちゃいました!」


「レーヌ!鍛治職人を頼んだがまさか君が来てくれるなんて!うれしいよ!」


現れたのはジェネイラの名工、ダルダニアスの孫娘レーヌ。彼女は修行という名目でユタカの下を訪れた。もちろん金銭を出して働いてもらう予定で

担当は農具などの鉄用品の製作だ


以前支援を行ったキエーボからは支援物資が贈られ、豊の力になりたいと云う意志のもと、技術指南と管理能力に優れた人材が派遣された。


その日はこの地に集まってくれた人々を労う為ささやかな宴が催され、豊は久しぶりに腕を振るい

皆の舌と胃袋を満足させた。



かつて知り合って助けた人々に、今度は助けられながら村の復興は更に加速する



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