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33. ジェネイラ武具大会


フォルトゥナ教団の支援によってソカ村が安定し

豊達が旅に出ると聞いたギャリオンは同行を申し出た。

彼を自由にするための行いであったが何よりも

ギャリオン自身がそれを望んだのである。


「いいのかギャリオン?君はもう自由の身なんだぞ?」


「自由の身だからこそです、自分の意志でユタカさんについていきたいと思いました。どうかオレを連れていってください!」


「ごしゅじんさま、ギャリオンちゃんが居たら旅もきっと楽しくなるよ?」


「……そうだな!一緒に行こう、ギャリオン!」


「……はいっ!!」




【ピンポンパンポーン】


『盛り上がってるところ済まないけど誰かを忘れてはいませんかぁ〜!!』


【あっ、女神様だ】


「女神様、オラクルがステレオタイプになってますぞ!!」


唐突に主張を始めたのは女神からの通信である。

ちなみに電話着信が個人電話で放送案内がステレオタイプだ。


豊、ロシィ、ルル、ギャリオンにも声が届く広域式の神託である。

聞きなれていない声に豊以外のメンバーは慌てふためいている様子


「なになに?声が聞こえるよ〜?」

ピョンピョン!!

「一体何が起きてるんだ!?」


「この声が我がフォルトゥナ教団の神であらせられる女神フォルトゥナ様です」


『うむ、苦しゅうないぞ!!』


各々のリアクションを見ながら

女神フォルトゥナは声をかける


『みんなよろしくね〜!』


「女神様、定期報告ですか?」


『そうよ〜!最近はこっちもそっちも忙しかったでしょう?今たまたま空いたからオラクルしたわけ!』


「テンション高いですぞ」


『いやいや、人類幸福度が9%になったのよ!やったわね!おかげでみんなと話せる様になったわ、フォルトゥナ教団でユタカ青年直属の部下にまでならオラクル可能よ!便利でしょ!』


「使い方次第ですかね……」


『私がバカンス期間になったらみっちり手伝ってあげるから感謝なさい!』


「神様ってバカンスとかあるのか……」


神との対話が進む中、通信の先から何やら別の神の声が聞こえる。

どうやらフォルトゥナと共に働く副神、リアーラのようだ。


『フォルトゥナ様!何をやってるんですか!まだ仕事が残っているでしょうに!』


『わわっ!リアーラ!ご飯に行ってたんじゃ……!』


『食べて帰ってきたんです!早く戻ってください!早く!』


放送先から女神を引きずる音が聞こえる。

どうやら連行されてゆく様だ。姿は見えないがどことなく哀愁が漂う。


『あっ、てなわけで引き続き頑張ってね〜!』


【ガチャ!……ツーツー……】


「いやはや……。嵐の様な人……じゃなくて神様ですぞ……。」


魔術の領域を遥かに超えた神託を自ら体験したことにより

ロシィとギャリオンは高揚している。

それほどまでに神による啓示は神聖なものであり特別な出来事で

物語の主役になるような特殊な人物しか与えられないものなのである。



「すっごーい!神様とお話しちゃったぁ〜!」


「驚いたなぁ……フォルトゥナ様は実際する神様だったのか……」


ピョンピョン!


「まぁ、そういう事でアレが我々教団の神様だから、よろしく」


「あっ、オレのレベルカードが……!」


首から下げていたギャリオンのカードから装備越しに光を放たれ

天の声によるアナウンスが流れる

【フォルトゥナの僅かな加護】

を追加しました。


「コレでギャリオンも立派なフォルトゥナ教団の一員だな」


「あらためて、よろしくギャリオンちゃん!わたし、センパイになったんだね!やったぁ!」


「よ、よろしくお願いします!」




かくして勇者のたまごであるギャリオンは愉快なフォルトゥナ教団の一員となった。



神託を終えた一行は、助けを求める人々を探す前に

各々の装備一新をする事となった。


長旅と前回のバトルサーベルライガー戦で

装備が大分傷付いていたからだ

その為、武具産出数と鉱石採掘数共に国一番と謳われている街

ジェネイラを訪れていた。



街はこの時期に丁度

ジェネイラ武具大会の開催準備期間であった為

人々の間にはとても活気があった。


【ジェネイラ武具大会】

この大会は街の武具店が、腕に自信のあるものに店自慢の装備を提供して戦ってもらい

誰が一番強いかを競う大会である

腕自慢はその力を存分に発揮する事で名を上げ、

武具店は商品の宣伝をすることが出来るのである。

もちろん大会主催側から賞金も出る上

更には賭け事も行われている。




「武具大会を目当てで街を訪れる人や商人なんかもいるらしい、人居るところに金儲けありってな事だね」


「わぁ〜!人がいっぱいだよ〜!」


「なんだか釣られてワクワクしてしまいますね、いいなぁこの活気」



まずは宿探しをするが、今の時期は何処もいっぱいらしく

残っているのは貴族や大商人御用達の高級宿ばかりであった

「まぁなんとか3人部屋が取れてよかったな」

「しかしユタカさん、オレの分の宿代良かったんですか?こんな高い宿で……」

「気にしないでよギャリオン、もう君はウチの団員なんだからさ」


「ユタカさん、ありがとうございます……!」


ギャリオンが感謝する後ろでロシィとルルはベッドで飛び跳ねていた

「わぁ〜い!フカフカだ〜!」


休憩を済ませ、宿で武具店の場所を聞き出すと

一行は複数ある武具店を回る事にする。


中には剣の専門店や女性専用店などもあり、商品の幅は豊富だった。

手頃な店を見つけ、装備の修理を望んでいると話を付けると

店員が少し困ったような顔をした。


「すみませんお客様、ただいまジェネイラ武具大会の準備等で今から装備の修理をご注文頂きますとしばしお時間を頂く事となりますがよろしいでしょうか?」


「この状態だと中古買取をしてもらって既存の新品を買ったほうが時間はかからないかな?」


「左様でございますね、ウチはリザードメイルよりも等級の高い商品も数多く取り揃えていますので」


「折角ジェネイラに来たんだし、色んな店舗も回りたいからとりあえず見せてもらえるかな?その後選んでも構わないでしょう?」


「えぇ、勿論ですとも。店によって需要や特徴がそれぞれありますので、きっとこのジェネイラでお客様にぴったりの武具が見つかる事でしょう」


何点か目ぼしいものをチェックしてから店を出る、次々と店を周り商品を確認する


「ごしゅじんさま、どう?似合う?」


ロシィは女性専門店で子供服を選んでいた。



「大変お似合いですわ、こちらは最高級の綿を丁寧に仕上げた当店自慢の商品でございます、裏地もしっかりしていて耐久性もありますよ。」



「なら、その上下一式に革の合わせ帷子、調整用の金具も付けてください、後このフードとバフロウの革靴に肌着も3種でお願いします」


「かしこまりました、すぐにご用意致します、こちらでお着替えなさいますか?」


「サイズ調整もお願いします」


女性店主は丁寧にお辞儀をすると

速やかに準備に取り掛かった


「ごしゅじんさま、いいのこんなに」

「必要経費だよ、構わんさ」


ロシィは女性店主に連れられサイズ調整へ

しばらくすると装備を一新した彼女が戻ってきた


「へへ〜!かわいい?」


豊は満足そうにくるくる回るロシィを

あらゆる角度から眺める、紳士な範囲で



「こちら計、ギルダム銀貨で155枚となりますがお客様は複数点ご購入して頂きましたのでギルダム銀貨150枚で勉強させて頂きます……」



「良い店ですね、また来ます」


代金を支払い店を出ると

女性店主は深々と頭を下げ見送った


次の店で豊はファイアサーペントの革と

マグマリザードの鱗で仕立てた鎧を見て

かっこいいと一目で購入


目立ち過ぎない静かに輝く紅と装飾が

男のロマンをくすぐったようだ


中古買取により差し引いた値段はギルダム銀貨350枚

ついでに鎧に合わせたマントも購入して

追加でギルダム銀貨200枚、計550枚を消費


彼の思い切った買い物にギャリオンは終始萎縮していたが

豊は「命は安くない」と豪語した。




武具店が並ぶ道を進むと一番奥に小さな女の子が道行く腕自慢に声をかけていた


「ウチの武具店で大会に出場しませんか!?ウチの武具はジェネイラで一番です!是非見ていってください!」



道行く腕自慢達は小さな女の子の話を聞こうともせずに通り過ぎる。


「こんな奥にあるしょぼい店がジェネイラで一番だって?笑わせてくれるぜ!」


ガラの悪い輩達に絡まれる少女


「この剣を見てください!ウチのおじいちゃんが作った剣です!」


鞘に納められた剣を取り出して見せる少女に対し

ガラの悪い奴等は少女から剣を取り上げるが中身を見ようとはしない


「じいさんの作った剣なんかで出場出来るかよ!負けちまうぜ!」



「おじいちゃんの剣はすごいんです!見ないなら返してください!」


ギャリオンが剣を持つ男の腕を掴む



「あだだだだだっ!」


痛みを訴える男の腕を更に捻り、剣を取り上げ少女に返す。


「いい大人が何事だ、恥を知れ」


捻り上げた腕を離し、突き飛ばすと

男達の目つきが鋭くなった


「何しやがるんだこの野……郎……」


ギャリオンはまだ若いが身長は185センチを越え、長年の戦いで筋肉もしなやかに鍛えられている


彼の立ち姿に男達はすっかり怯んでしまい、お決まりのセリフでその場を立ち去った

剣を受け取った少女は目を輝かせてギャリオンを見つめる。


「ありがとう、お兄さん強いんだね!大会には出るの?」


「いや、オレ達は良い武具を探してこの街を訪れたんだ」


「それなら丁度いいわ!ウチの武具を見ていってよ!絶対に気にいるわ!おじいちゃんの武具はジェネイラいちなんだもの!」


少女の勢いに押され、豊達は少女の祖父が経営する武具店へと向かった。



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