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27.出稼ぎの勇者



キエーボの一件で貧民街を救ってからは

噂が噂を呼び、フォルトゥナ教団の話題は所々で広まっていた。


それはギルドの酒場で呑んだくれる冒険者達も例外ではない

エールのつまみに、今日もこの場所では教団の話題が尽きなった。


「キエーボもそうだが他にも多数の村がフォルトゥナ教団の2人によって救済されていて、1人は恰幅のいい若い男、もう1人は幼い少女で、少女は白いカエルを従え、そのカエルは癒しの力を持つと言われている」


「随分と眉唾な話だな」


「本当だったらスゲェ話だ、本当に神様が人間を救って回ってるのかもしれねぇな」




ここで突然だが何故、労働者組合、云わば冒険者ギルドの多くに

酒場が併設されているのか。

これは昔、仕事の依頼を受諾する役割が宿屋にあったからだ。

宿屋や食堂、酒場には【消費の必要】により、常に様々な人が集まる。

これを利用して生まれたのが仕事の依頼と紹介、斡旋の仕組みだ。


やがては仕事の募集が増えるにつれ、店の経営から斡旋の需要が上がり

今では労働の手助けをする事が主な役割となっている。

このギルドも数代前は小さな宿屋兼酒場であったが、

仲介料を取る事でここまで大きな組織へと変貌を遂げたのである。




カランカラン


入り口の鐘がなる。


「段差があるよ気をつけて」


「ごしゅじんさまぁ、だいじょうぶですよぉ〜」


恰幅のいい若い男と

カエルを従えた幼い少女が現れ

冒険者達は互いに顔を見合わせる


「「まさかなぁ〜〜!」」


豊は受付に向かい依頼達成の手続きをとる

「ロシィ、素材を出してくれ」

「は〜い!」



ズルズルズルズルズルズル



マジカルバックパックから

黒くて長い大蛇の死体が出てきた

受付嬢が多少焦って解体屋に運搬を言い渡した


受け渡しを済ませ

テーブル席で査定を待つ2人と1匹


「今回はレベル上がりませんでした」


「もう5だからな、仕方ないさ」


「今回はルルちゃんがレベル上がったからよしとします、ルルちゃんいい子いい子♡」


ピョンピョン



平気で話をしているがレベル5はもう既に冒険者としては一人前のレベルであった


「嘘だろ……あんな幼い子が……」


「流石に法螺だろ……俺たちだってまだ6なんだからよ……」



「ユタカ様、邪悪大蛇の討伐及び買い取り査定が終了しました、お越しください」


ガターン!


冒険者達は全員すっ転んでいた

それもそのはず


【邪悪大蛇】


鋭刃蛇の上位亜種

魔法を弾く皮を持ちワグマさえ一飲みにする密林の覇者

素材は高く取引され冒険者達憧れの高級装備になる


「査定内訳ですが討伐はギルダム銀貨75枚、買い取りは状態を見て皮、肉、牙合わせて最高額のギルダム銀貨112枚、合計187枚となります」


「確認しました、どうも」


「ありがとうございました」


冒険者達は「俺たちの3倍は稼いでるぜあの2人……」と話をしていた。

大金を稼ぎ出す2人を目の当たりにし、即発されやる気を見せる者

逆にやる気を失うものとに分かれるがこれも冒険者としての性と言えよう。


報酬額の確認などを踏まえた事務的な手続きを終え

豊が次の依頼を探しに掲示板の前に向かうと

張り出された依頼書とにらめっこする金髪の若い戦士がいた。



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