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24.これからに繋がる決断


豊たちは事の発端であるゲッゲーロをぐるぐる巻きにしてリレイン村へと連れて帰った



水害の原因がゲッゲーロによる水魔術だと知った村人は怒りを露わにし

報復のためにゲッゲーロの身柄を渡すよう豊に言った




「今回ゲッゲーロを連れてきたのは村のみんなに報復をさせるためではありません」


豊の言葉に家屋と畑を失った村人は声を荒げて抗議をした


「ふざけるな!」「家が無くなったんだ!」「亡くなった人も居るんだぞ!」「報復だ!許せるものか!」



「みなさん、私の話をお聞きください……」

豊は静かだが、重みのある言葉で村人を一旦黙らせた


「彼を連れてきたのは自分のしたことを理解させ、未来に繋がる補償をさせる為です」



豊の言葉に村人、そのうちの1人が

「自然の所為なら仕方ないと諦めもつくが今回の水害は意図して行われた事だ、財産と家族を失った人の怒りはどうしたらいいんだ……!」



「もし彼に報復をすれば気は多少晴れるやもしれません、しかし、後に残るのものは何もありません」


村人達は拳を握りしめ口を紡ぐ



「ならば彼の魔術師としての力を最大限に発揮しこの村の復旧に役立てるべきであると私は考えています、彼の水魔術があればある程度の天候の操作、水不足の解消、自然災害の対策、水質の改善など様々な利益が望めます、本来魔術師は各国々が多額の資金を積む事で雇用する人材です、失われた資産等を貨幣に換算しその金額分彼に働いてもらうつもりです」



豊の言葉に納得を示す村人も現れる



「家屋や畑の損害や家族の死、その失ったものは決して返ってきません、しかし補償という形ならばそれらを失った方々に対して未来の不安を取り除いてあげる事ができます、私もこの村が安定するまで力を尽くします、どうか村のみんなには私の提案を受け入れていただきたいです……」



決断は家族を失った村人に委ねられた

その村人は時間が欲しいと言われ

今日の話し合いは終わった



「ゲロ……」


拘束され、村人の敵意に晒されたゲッゲーロは肩を落とし、ぐったりとしていた


「きっと村人達は良い決断をしてくれるはずだ納得はいかないだろうがな」


「ダメゲロ……オレ様殺されちゃうゲロ……ユタカに負けたから仕方ないゲロ……この世は弱肉強食ゲロ……」



豊はゲッゲーロの前に一皿のスープを置いた

「お前のぶんのメシだ、ぼくが作った、口に合うかは分からないがね」



拘束を解かれたゲッゲーロは最後の食事と覚悟し、野菜のスープを啜った



「ッッ!?」


ゲッゲーロはスープを貪るように勢いよく食べ始めた

「美味いゲロ!なんだこれは?これはなんなんだゲロ!?」


「この村で採れたアマイモをベースに作った野菜のスープだ、美味いだろう?」


「おかわりゲロ!」


ゲッゲーロはその後4杯の山盛りスープを平らげた


「美味かったゲロ……生まれて初めてお腹が張り裂けそうゲロ……」


「それはお前が村人に失わせたもののひとつだ、家屋、畑、人、その野菜スープはそれらが存在したおかげで生まれた大切な財産なんだ」


「ゲロ……!」


「野菜を生み出す畑、畑を作った人、人を住まわす為の家、コレらがあって初めてこの村のスープは成立するんだ」


「オレ様……大変な事をしたゲロ……いっぱい水で流れたゲロ……!」


「理解したかゲッゲーロ、自分のしでかした事を……」


「オレ様……ニンゲンなんて自分勝手に自然を壊すだけで、価値のない存在だと思っていたゲロ……でも違ったゲロ……オレ様……もし、許してもらえるなら……精いっぱい償うゲロ……」


「……そうか……」


「そんで、またスープ食べたいゲロ」


「大丈夫さ、きっとまた食べられる」




次の日の朝

豊の元に村のみんながやってきた

ゲッゲーロを許し償いが終わるその日まで

村の一員として責任を持つとの事



皆の前で魔術師の契りを交わす

【村の補償が済むまで精いっぱい魔術師としての責務を果たす】


補償額は家屋、畑

ギルダム銀貨1200枚

農作物

ギルダム銀貨1500枚

亡くなった家族への補償

ギルダム銀貨1500枚



優秀な魔術師ならば三、四年で返せる額だ

ゲッゲーロは決意も新たに

村への補償を始める



豊達も村の復興の為に2ヶ月間滞在した

その間、豊の指示で

ゲッゲーロによる川の幅と深さ調整


村に水路を作り生活用水の安定した供給

排水をろ過する魔術装置の開発などが

行われた


滞在中は豊が食事を仕切り

皆が復興に全力を尽くせるようにした


その甲斐あって畑も村も見事に蘇った

【時を駆ける創造】により物資の補充がされ、高床式家屋が作られ

川の前には新しい堤防も完成した。


以前よりも立派な村へと生まれ変わり

畑での収穫も比べ物にならない程に成果が出ている。


豊は時間をかけて、残された遺族のケアをし

復興が落ち着いてから改めて葬儀を行って

気持ちの整理をつける様に手助けをした。



人々は村の復興を喜び

ひとつの区切りとして盛大な宴が開かれた。


いつしかゲッゲーロは人々との理解を深め

少し村に馴染むことができた

互いにまだ、溝は深いが打ち解け始めている


この様子ならばと豊は安堵し

人々の為に料理を作るのであった。



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