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23.第5の術



水操球ウォーターボール

対象者を水の檻に閉じ込める水の魔術


ロシィはウォーターボールに捕まり

自由を奪われ

呼吸が出来ず踠き苦しんでいる




「てめぇ……!」


『動くな!また時魔術を使えばウォーターボールの水圧を上げるゲロ。あのお嬢ちゃんがグシャッとなる所が見たいゲロか!?』


「ぐっ……!」


豊の使う【クイックアップ】は

連続して使うことが出来ない

身体に負担をかける禁術は再使用にクールタイムを必要とするのだ



(考えろ!考えろ!ロシィを助けるんだ!)


「ごっ……ごしゅ……じんさま……」


(クールタイムがなんだ!ロシィを助けるのを優先させるべきじゃないか!体現せよ!第2の術!)



【ドグン!!】


「がっ!?ぐっ!?」


身体への負担が許容値を上回り、鈍く心臓が跳ね、魔術は不発した。

クールタイムを無視してでの

クイックアップは発動出来ない。




余りの激痛にその場にうずくまり、動きを止めた豊へ

追撃を撃ち込むゲッゲーロ


水弾は容赦がなく、撃ち込まれる度に

衝撃で苦悶の表情が浮かぶ

受けた後には痣が色濃く浮き出し

攻撃の威力を物語っている


装備している革鎧で水弾の衝撃を和らげようと試みるが、どうしても全体の数が多く捌き切れない


一度止まってしまい集中攻撃により

回避する事すら叶わず、ジワジワと豊は痛めつけられる。



それは一方的な暴力を楽しむかの様に続いた

ただ、じっと耐えるしか出来ずに

豊は思考を巡らせ、この場を打破するべく

神経を尖らせていた。



致命打を防いではいるが、激しい攻撃によって

着実にダメージは蓄積してゆく




『何を企んでいるかは知らないゲロがウォーターボールの水を消す方法はないゲロ!あるとすればあの娘が水を飲み干すことくらいゲロ!ニンゲンには無理ゲロ〜〜!』





「水を……飲み干す……?」

豊はその言葉を聞き、頭の中で何かが閃いた。

走馬灯が意識の中をゆっくりと流れ

断片的な記憶が蘇る。


【バックパックの10倍の容量】



【アタッチメントでの開閉】



【ルルちゃんかしこーい!】






(一か八か……!)



「ルルーーっ!!バックパックのアタッチメントを押せーー!!」



『何ゲロ!?』


自らに起こった事象に対応出来ず

ロシィの肩でまごまごしていたルルは

豊の言葉を理解してバックパックに付いているアタッチメントを押した



『カチッ!』っと音が鳴る


それと同時に

スキル【マジカルバックパック】が発動し

ロシィのバックパックは

ウォーターボールの水をすべて飲み込み

彼女はその場に放り出されたのである。




「ゲホッ……ゲホッ……ルル……ちゃ……ありがと……」


『何ゲロ?何が起きたゲロ?』


魔術で操っていた大量の水が瞬時に消えた現状に対し

戸惑いを隠せないゲッゲーロをよそに

全力で駆け出す豊、身体から魔術の光が迸る




「体現せよ!第5の術!【怒りの鉄槌】!」




爆音を響かせ雨の森を黙らせる

収束した膨大な力が

大爆発を引き起こす


【怒りの鉄槌】


豊の怒りが体現した具象魔術

黒く輝く鉄の巨人が現れ対象者と

その周りに力任せの拳、鉄槌を下す

超攻撃特化の魔術



豊が少年の頃一度だけ、怒りに任せて他人に暴力を振るったことがあった


それは虐められている女の子を救う為で

自分の正義を貫いた結果だったが

人を傷付けてしまった事実は変わらない

力には責任が付きまとう


使い方次第で天使にも悪魔にもなる

その苦い思い出が魔術となり体現したのである。



森中を震撼させる爆音と衝撃

剥がれ落ちる木の葉と舞う土煙


しかし、その場に潰れたカエルは存在しなかった。



怒りに身を任せ鉄の拳が振り降ろされたその瞬間

豊の脳裏に、今は亡き父と重ねた数々の思い出が過り、思いとどまらせたのである。



「……次はないと思え……!」




雨は止み、地面は大きく抉れながらも

ゲッゲーロ自身は生きていた


大きく目を見開き、小刻みに浅い呼吸を繰り返す

逃れられぬ死を確信する異様な殺気を浴びせられ

激しく抉れて変化した地形を目の当たりにした時


彼は2度と……2度と、絶対に

豊に逆らえない恐怖を刷り込まれた。




豊の攻撃を中心とし

天地が逆転すると錯覚する程の衝撃波が発生

大地は割れ、周辺の木々は見事に根元からへし折れている。


その惨状は顕現した第5の術の恐るべき破壊力を如実に表していた。






痣だらけの身体を引きずり、豊は急いでロシィに駆け寄る。

「ロシィ……大丈夫か?」


彼女は無事であった

肩でゆっくりと息をしながら応える



「だいじょうぶです……ありがとうございます……ごしゅじんさま……」



彼女は笑った


豊の古い記憶、それはいつの日だったか


少年の時初めて助けた女の子を彷彿させた。


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