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22.雨の森のカエル



夜が明けるのと同時に2人は森へと足を踏み入れた

用件は内部調査であるが

決まった目的地があるわけでは無い。



森の中は1年のほとんどが雨なのにもかかわらず

何故か木々が生い茂る不思議な森だと村人は話していた。



「オラのばあ様の話では、なんでも森の奥深くには代々カエルの魔術師がいて、雨を降らせ続けているんだとか」



雨でぬかるんだ地面を歩き、2人は森の中を進んでいく


しばらく歩いた先で洞窟を発見し

休息を実施。火を焚き衣服を乾かしながら

食事を摂る事にした



「今日は歩かないといけないからガッツリ食べるか!」


「はい!ロシィはおやこどんがたべたいです!」


「いい考えだ!飲み物はどうする?」


「コーラ!」


「はっはっは!僕もそうしよう」


「第3の術!【過剰なる糧】」



メニューを開き親子丼2つと瓶コーラを選択

即座に熱々の親子丼とキンキンに冷えたコーラが現れた

「「いただきます!」」



「柔らかくてジューシーな鶏肉とフワフワとろけるまろやかなたまごが醤油ベースの甘い味付けに合う!ご飯!掻き込まずにはいられない!」


「あつあつ!おいしい!おいしい!」



2人が食事を楽しんでいると、匂いに釣られてきたのか

1匹の白い小さなカエルが現れた


そのカエルは食事をする2人をじっと見つめていた、それが気になるのか

ロシィは交互にカエルと豊を見る。



「カエルさんもお腹が空いているみたいだね。ちょっと分けてあげようか」



主人の言葉にロシィの顔は明るくなり

カエルにご飯粒を数粒手から与えた



勢い良く米を口内に収め咀嚼をする

はぐはぐはぐはぐ


ピョンピョン



喜んでいるのか2回ほど飛び跳ね

またじっとこちらを見つめる


続けてご飯粒を与えるとカエルはロシィの肩に乗っかり身をすり寄せた



「ロシィの事が気に入ったんだね」


「はい、かわいいカエルさんですね」



【ヒールフロッグが仲間になりたそうにこちらを見ている、仲間にしますか?】



先日女神により実装された天の声システムが

現状を説明する



「おわっ?なんぞなんぞ?」


「カエルさん、ヒールフロッグさんっていうの?よろしくね」



【YES】


【ヒールフロッグが仲間に加わった】



「あっ……」


「どうやらロシィの言った【よろしくね】を【YES】と認識したようだなぁ……」


「あわわ……ごしゅじんさま、ごめんなさい……!」


「構わんさ、なったもんは仕方ないし」




【ヒールフロッグに名前を付けてください】


ロシィのレベルカードが光り

名前の入力欄が現れる


「なまえ……なまえ……?えっと……ルルちゃん」


【「ルル」でよろしいですか?】


「はい」


【登録しました、能力値の確認はカードの項目に指で触れてください】


ロシィのカードに【追加項目】が存在しその中にルルのステータスがあった


【癒しヒールフロッグ

名前:ルル

レベル1


HP50/50

MP30/30

傷や病を癒すとても珍しいカエル

雨の森にしか生息せず生命力が強い


スキル ヒール


加護 僅かなフォルトゥナの加護


特性 ロシィが好き




「おぉ……なんかすごい事になってる……」


「よろしくね!ルルちゃん!」


ピョンピョン



「僕たちの言葉が理解できるみたいだな」


「ルルちゃんかしこーい!」


ピョンピョン



「そろそろ片付けをして出発の準備するか、ロシィ頼む」


「はーい!」

おニューのバックパックの中に

次々と道具を入れるロシィを不思議そうに見つめるルル



「ルルちゃんこれわかるの?マジカルバックパックだよ!このラビィちゃんを押すとね、バックパックが開いて道具がたっくさん入るんだよ〜!」


ピョンピョン


「ルルちゃんもやる?はい、どうぞ」


ルルはアタッチメントを押してバックパックを開け、小さい道具をひとつしまった


「すっごーい!ルルちゃんお片付け出来たよ〜!えら〜い!かわいい〜!」


「ルル頭がいいんだなぁ」


しばらくして服が乾き雨が弱くなるのを確認すると

ふたたび、豊達は森の奥へと進んだ

またしばらく歩くと雨は止み霧が出てきた



「これ迷ったらシャレにならないだろ……一旦引き返して……?あれ?どっちから来たんだ?」


「えーっ?まいご?まいごはたいへんだよ!どーしよう!」


霧に視野を遮られ、方向すら定かではない状況に対して

慌てふためく2人の様子を見てか

ルルがロシィの肩の上で主張するかの様に何度か跳ねる


ピョンピョン


「えっ?ルルちゃんなぁに?」


ピョンピョン


「ロシィ、ルルがどうかしたのか?」


「はい、ルルちゃんがこっちだって……」


「道がわかるのか?」


「わかんないですけど……ルルちゃんが……」


「……ここは賢いルルを信じてみるか……」




ルルの指示で泥道を進むことしばらく

霧が晴れ、拓けた場所へと通じる小道に出た

茂みを掻き分け、僅かに出来た道を進む


その際に、何か蜘蛛の巣に引っかかったのにも似た

僅かな違和感が豊かには感じられた。



「わぁ〜!明るくなってきた!」


木々が深く生い茂った森から一転

所々に日の光が差し込む場所へと辿り着いた。

まだ道は続いている様にも見え

進めば更に日の光を得られるだろう。


ピョンピョン


「やはり、ルルは賢いな」


褒められたことを理解しているのか

ルルは何度もその場でピョンピョン跳ねた。


跳ねるのはルルの意思表示とも受け取れる。



奥へ奥へと道なりに進むと、何やら僅かに声が聞こえてきた。


茂みの先の広場では何者かによって魔術の詠唱が行われているようであり、豊達はそれを確認する為、歩みを進めた。


すると、踏み込んだ地面が雨によって泥濘み

豊は自身の体重も相まって、大きく足を取られた。


体勢を持ち直そうと踏ん張りを効かせようとした際

彼は小枝を思いっきり踏んでしまった。


それはまるで四股を取るような形となって盛大に音を響かせてしまい

詠唱していた人物に存在を悟られてしまう。





『ゲロ!?ニンゲンが結界を抜けてきたゲロ!?何故ゲロ!?』



目を向けた先には人語を操る

大きくて肌の青いカエルがいた


上下に緑の服と青いマントを装備し

人間とそう変わらない背格好をしている

身長は子供よりも少し大きい

といった所だろう140センチはある



『まさか、オレ様の極地豪雨による村の襲撃がバレたゲロ!?それでオレ様を倒しにきたゲロ!?』


予期せぬ訪問者に驚いたのか、こちらが知りもしない情報を口から滑らせるカエル。

リレイン村を襲った豪雨を降らせたのはこの人物で間違いないだろう。


「何も言ってないのに全部喋ったぞコイツ……」


「キミがわるいことしてたんだね!」


『ゲロゲロ〜〜!バレたならば仕方ない!知りたければ教えてやるゲロ!そうオレ様は雨の森の支配者!5代目水の魔術師ゲッゲーロ様ゲロ!近隣の村を豪雨で洗い流し、雨の森の領域を広げゆくゆくはこの国一帯を飲み込むという大掛かりな作戦をよくぞ見破ったゲロ!!』


「僕たちはまだ何も言ってないのに……」


『ふはは!雨をやめてほしければオレ様を倒すしかないゲロ〜〜!』


「……ロシィ下がってな」

交渉の余地はないと悟り

すぐさま荷物をその場に置いて戦闘態勢を整える。


『お前が相手ゲロかぁ?容赦しないゲロ……よ!!』



先程まで晴れていた広場に、大量の雨が降りそそぐ

それは視界を遮り体温を下げ、衣服を重くした。

この森では地形や環境が全て敵の想いのままである

圧倒的不利な状況下で戦いは始まった。


ゲッゲーロは詠唱もなしに水弾を放った。

複数の水弾が豊を襲う

豊は剣で水弾の軌道を変え、弾きながら回避をしていく




『なかなかすばしっこい奴ゲロ……コレならどうゲロ〜〜?』


「水弾が1、2……計8つ!」


巨体に見合わぬ華麗なる身のこなしで

複数の水弾を次々と回避するが

ゲッゲーロはそこからさらに水弾を増やす。



『水は無限にあるゲロ!いつまで躱せるか見ものゲロ!』



魔力量が多いのか種族特有のスキルなのか

一向に攻撃の手は弱まる気配がない。



「体現せよ!第2の術!」

【クイックアップ】


豊は水弾を打開すべく、時を圧縮

その効果により約6秒程度の猶予を手に入れ






雨が……




止まる……!






刹那



数十歩あったはずの間合いは詰められ

ゲッゲーロの顔には、豊の拳が深々と突き刺さっていた。

すかさずゲッゲーロを鷲掴み、吹き飛ぶのを防ぐ


瞬きよりも早く戦況がひっくり返った事と

空間の歪みによる僅かな魔力の変質が事象の原因を確かなものとさせる。

この感覚が察知できる程にゲッゲーロは魔術師として

破格の才覚を持ち合わせていたのだろう。


『ゲッゲー!お前っ!時魔術師か!?なんでそんな禁術使いがっ!?』


「御託はいい、もう一発殴られたくなければもう村には手を出すな……」


『ひぃ……!くっ……わかったゲロ……!もう悪さはしないゲロ……』


「ならいいんだ」



豊の指が緩んだ一瞬の隙をつき

ゲッゲーロが指を鳴らすと魔術が発動した

降り続ける雨が一点に集中し

ロシィへと襲い掛かる


水球はあっという間に彼女を飲み込み

自由を奪う、咄嗟のことに反応が遅れた



「ガボッ……!ガボボッ……!」


「!?……ロシィ!!」


『手を離したゲロな……!』


ゲッゲーロの強烈な蹴りが豊の身体を吹き飛ばした


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