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21. 氾濫した村を救え


宿屋を出発し

グレイトワグマの報酬をもらう為

ギルドにやってきた豊とロシィは


待ち時間の間に、他の冒険者から救済を求めている人々が居ないかを聞いていた



グレイトワグマを持ち帰った2人に対して

他の冒険者は丁寧な対応で話してくれた



「ここから馬車で南に向かった先にあるリレインという村では水害が多発しているらしくて、なんでも雨で近くの川が氾濫して危ないんだとよ、あそこはアマイモが名産でこのままだとアマイモが取れなくなるだろうな……」


「次の目的地が決まりましたねごしゅじんさま!」

「おう、行くかロシィ!」


「アンタら何しに行くんだよ、もしかして救済活動とか言うんじゃねぇよな?」


「そのとおりだ、私たちは人々の救済に尽力を惜しまない、なぁロシィよ」

「はい!ごしゅじんさま!」



2人が席を立とうとすると、ちょうど査定が終了したようだ



「こちらグレイトワグマの討伐完遂と素材買い取り、討伐が80枚、買い取りが42枚、正式依頼につき解体手数料はこちら持ちとなりますので計ギルダム銀貨122枚です。ご確認ください」



聞き耳を立てていた他の冒険者からは

「2人組で稼ぐ額じゃねぇぞ」と声がしていたが

銀貨を数えるのに必死な2人には聞こえていない


2人は必要物資を買い足し

相乗りの馬車でリレイン村へと向かった

そう遠くはない道のりと聞いていたが、雨による影響で道が泥濘ぬかるみ

馬と車輪は足を取られ、余分に時間を費やしてしまう。


丸一日かけて村に着き、村長と面会をした。

話に聞いていた通り、ここ連日の災害の対処で疲弊している様である。



「救済活動の為に参りましたフォルトゥナ教団のユタカと申します。こちらは団員のロシィです」


「我が村の危機にお越しいただきありがとうございます……今、村では雨の度に近くの川が氾濫し家屋や畑がダメにされています、川の前に土を盛り対策を講じていますが今のところ成果が得られておりませぬ……」


本来ならば水浸しになった村と氾濫した川、どちらも対応を行わなければならないが

人手不足や環境の面で作業が滞っているとの事だ。


「この村では雨の度に氾濫があるのですか?」


「いいえ……今年になって初めての出来事で我々は対応仕切れず……」




雨が多い日本の様な土地では水害対策として

古より大量の人員を投じ、各地様々な施工が行われていたりする。


この世界全体の観点から言えば技術自体は確立してはいるが

リレイン村の様に初めての大規模水害に対して

予め対策している事などはないだろうと豊は察していた。



「先ずは村人の腹を満たしましょう、炊き出しを行いますので屋根のある安全な場所に皆さんを集めてください、それと出来れば人数分の食器をご用意ください」



まず最初に行われたのは、救済活動恒例の炊き出しである。

もはやこの作業は豊やロシィは慣れたものであった

村の女達に手伝ってもらい、過剰なる粥は完成した


今回は糧のサブメニュー「生卵」を使い

栄養、カロリー共に満点の卵粥となった


人々は卵粥を腹に収め、村の復旧作業に戻っていく

現在は雨は降っておらず、まだ川は氾濫していない。


多少の疑念を残しながらこれ幸いと

今のうちに対策を講じるべく豊は活動を始めた。


村周辺の地形を探ると分かった事はふたつ。

ひとつは川は村の位置よりも低い地形にあり

生半可な降水量では村まで水は押し寄せない。ということ


ふたつ目は、川から村への道が丘によって狭まっており

その結果、川が氾濫した際に水流が一点に集中して流れ出てしまい

鉄砲水の様な現象を起こしてしまうという事だ。


極めつけは川の描く曲線幅の狭さ、これにより大量の水流が滞り

水位が上昇してしまう。


川へ赴き、どのくらいまで水が溢れるのかを村人に尋ねる。


村人は初回氾濫後に

長い柱を川の手前に打ち込み

どの辺りまで水位が上がったのか印をつけていた


豊は念のためにそれよりも高い位置を

計画高水位として定め計画を始める。




まず始めに豊は

村と川の中間位置に天幕を張り、作業台と窯を作った。

第4の術【時を駆ける創造】の為である


その間に川の周りの排水と整地を指示しておき

氾濫の被害が大きい部分を優先して土を盛っていく


排水は比較的簡単な方法であるが地面に溝を掘り

水の通り道を作って下流まで導く方法で

整地は泥濘処置と基礎を安定化させる為、比較的平たく大きな石を

平らになる様に敷き詰めるやり方を提唱した。


本格的な方法ではないが、その場しのぎには利用できる。



続けて豊が作ろうとしているのは【土嚢どのう】である

土嚢とは袋に土を入れて作る土木資材のことで

主に水や土砂の流れを止めたり変えたりするのに使用される。


「我が前に体現せよ第4の術!」

【時を駆ける創造】


目的地が水害からの救済と知り

あらかじめ材料である麻袋を大量に用意していた豊は、次々と土嚢を作り出していく


しかし材料が思った以上に足りず難儀していた。

「人員が割けないのは仕方ないとはいえ、この効率では次の雨に間に合わないかもしれない……。いくら時を駆ける創造があってもこの材料で足りるかどうか……。」

いくら魔術による補助があるとはいえ、災害用資材を作り続けるリソースに不安があった。


「せめて、物資を節約して数を増やすことが出来れば……!」

その時、豊のレベルカードが眩く光を放った。


【第4の術、時を駆ける創造の熟練度が一定に達しました、材料節約、効率2倍、速度2倍がアンロックされました】



「材料節約と速度アップはわかるが効率2倍ってなんだ……?」


試しに土嚢を作ると材料は半分消費され速度は2倍になり


【土嚢が2つ完成していた】


「あっ……あっ……そうきたかぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」


時を駆ける創造は一回の作成で結果が2倍になるという反則スキルに化けた


「あっ、じゃあまてよ……?」


豊は試しに完成した土嚢を時を駆ける創造を介さず手動で分解してみた

すると土嚢は土と袋になった



これは実質土嚢の材料が増えた事になり

質量保存の法則を完全に無視したことになる。



せっせ……せっせ……

せっせ……せっせ……



途中、ロシィに完成した土嚢を分解してもらい

素材に戻す事で効率化を図った


土嚢を運ぶ際効率を上げる為

途中で猫車を導入し、1日をかけて

川に隣接する土嚢の壁は出来上がった。


しかし、その反動として豊は自身の魔力を大量に失う事となる。

質量保存の法則が無視されていたのではなく

その効率の分だけ魔力で補い、消費していたに過ぎないのであった。

筋肉痛にも似た激痛と倦怠感、頭痛と吐き気を伴いながら夜はあける。



そして次の日

満を持してか、激しい雨が降り出した。

昨日積んだ土嚢が十分な力を発揮している

予定よりも多く積んでいたので川の氾濫による被害は0に抑える事が出来た


この結果に村人は皆、豊に感謝をした

一時的にだが被害を抑える事が出来たと解かり

皆に笑顔が戻ったのである。

豊達は魔力の回復と水害による被害が改善されるまで滞在する事にした。


豊の指示で土嚢による一時的な堤防が完成し

万が一堤防を越えた場合に備え

川から村までの道に段階的に土嚢の壁を形成した上

新しく建てる建築物には水害対策として

盛り土による高床式建築を推奨しておいた。



豊とロシィは急に降り出した雨の原因と

村で噂になっていた場所へ調査に向かった。

そこは古くから雨の森と呼ばれ

村から川を渡った先に存在する深い森であった。


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