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2.異世界にはロマンしかない



「前略、母上様」

遠い田舎を離れた僕は、今現在



異世界にいます。



詳細は省きますが、僕はハガンカという

わりと賑わいを見せる大きな街で、貴族のお子様を相手に算術を教えています。

こちらの世界で算術は四則計算が出来ると商売が出来るという教育レベルです。


生活は出来ていますし充実した生活をしています。また手紙書きます。


息子より



豊は、届く筈もない母への手紙に封をして、寝床へと潜った。

肉体と精神の疲労から訪れる程よい微睡は、突然の大声により阻害される。


『ちょーっとまったぁぁぁ!!』

豊が母への手紙を認めた後にその声は響いた。


「なんですか女神様、明日も朝早いので僕は寝ますぞ」


『何をやってるんだユタカ青年!キミの行動はちっとも我が目的に沿ってないぞ!』


女神の召喚により、現代から異世界へと赴いた豊は

本来の目的を果たすことなく、1ヶ月家庭教師をしていた。


「何を仰います女神様、女神様が初期にお金を渡してくれなかったから稼がないとならないハメになったのではないですか!」


『だって!お金なんてそこいらのモンスターを倒せばラクラク稼げると思ったんだもの!』


女神に出会って1ヶ月、豊は気がついたことがあった。

この女神はいわゆるポンコツであり

短絡的で、ワガママでおっちょこちょいだった。


「しかし、女神様の仰る『世界幸福大作戦』は余りにも短絡的ですぞ」


『ユタカ青年がもっと攻撃スキルの才能さえあればホイホイと旅は出来たのよ!』


「僕の所為ですか!?それ言うなれば、大体女神様だって……」


この無駄な会話は省くとして

北条豊は現代人である。


公衆トイレで紙を切らした際

突如現れた女神によって窮地を救われ


その代価として、女神が創造した世界を再生するべく

旅に出る事となった。


旅の目的である再生とは

【人類の幸福度を上げる事】



世界創造初心者であった女神は

初手で規模の大きな世界を創り出した。



最初は楽しかったが、人類が生まれて活動をすると管理が途端に難しくなった。



女神は剣と魔法のファンタジー世界が作りたくて世界観を設定したが

災害、飢饉、疫病などの様々な要素が重なる事により


思った様に事が運ばず、人類の幸福度は年を重ねるごとに減少し

今では人類全体幸福度は【2%】まで下がっていた。



この【人類全体幸福度】は

神の世界での評価に直結し



創造世界を放棄すれば、女神は神の座を降ろされ

長い長い下働きに逆戻りするという。



そんな女神を救済するべく施された

特別な処置とは

【世界に直接干渉できる存在の派遣】

であった。


神は本来、【神託】という形で

人々に知恵などを与える事が許されている。

が、毎回それが上手い事いかず


その結果、今回の処置に至った

神託とは違い、受肉した存在が直接世界に干渉することで

より良い効率が望めるはずだった。




ちなみに、この世界での言葉や文字は

生活で不備がないよう、自動的に習得と翻訳がなされている。


時折ひらがなや漢字、英数字を始めとした

様々な表現、言語、名称などが出てくるが

言葉の響きや読み易さを考慮したものである


明記によっては出典がデタラメだったり

不恰好な翻訳がされたりするがご愛嬌。


場合によっては、名言や諺なども飛び交うが

この世界で発生した事象をより分かりやすく

変換したものだと考えてほしい。


例えば「シュベニクロッテのアスマカルトでスベルクヌイトであった」

と言われても混乱してしまうだろう。


今後も分かり易さを考慮してカタカナ英語が

多く出てくるので了承頂きたい




『ユタカ青年!まだ話は終わってないぞ!……わわっ!何をするリアーラ!まだユタカ青年との通信が……!』



『何を言ってるんですか女神様!貴女がやらなきゃいけない仕事はまだこんなに……プツン!……ツーツー……』



「寝る……スヤスヤスヤスヤ……」






異世界には、ロマンしかない。

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