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109. ふたりのレベル上げ



 豊達は再びパシリカへ足を踏み入れた。魔装車改の準備等を済ませ、いつもの様に物資を調達し、兄妹ふたりの装備も整えた。クウェルが手持ち槍と大型盾。イリスは魔術補助用杖とナイフ。防具は服の上から装備出来る、革製の軽鎧と各種、致命回避装備、マントと靴も新調した。


 兄妹は豊に深く礼をすると、

必ずや救世主となり役に立つよう、決意を新たにした。


 路銀稼ぎとレベル上げを兼ね、ギルドから適した討伐依頼を受けた。内容は増え過ぎたモンスターの駆除。


【ウェルターリザード】


 ライトリザードの上位種。

大きさはライトリザードの二倍程あり、耐久力に優れ、肉は美味しい。

精がつくとされ、夏には好んでよく食べられる。

余りの美味さに家畜化を試みたが、個体が強過ぎる為、実現化しなかった。

その分価値が高騰した事により、一時期人気のモンスターとなる。

年間の負傷者、死亡者は増え続けている。


 今回は出来るだけ多く、この目標を駆除し、出来れば素材は全て持って帰ってきてほしいとの事。豊はウェルターリザードを鉄巨人コロッサスでガチガチに抑え込み、クウェルに槍でダメージを与えさせていた。レベルリンクにより、クウェルが倒してもイリスにも一定の経験値は入る。


 三十回ほど槍で突き刺したところで、ようやく一匹目を討伐した。ユピスとロシィは解体作業を手早く行う。【レベル抑制】の誓約と制約により、一匹ではレベルが上がらず。次々とウェルターリザードを倒していく。その間、イリスは魔術詠唱と魔力圧縮訓練を続け、負荷をかける事で熟練度を上げながら経験値としていた。


 既に三組目となる、救世主候補の育成という事もあって、

手順が明確になり、効率が段々と上がってきていた。それとは別に、体感だけでなく、能力値ステータスの数値的にも違いが見られた。全体的に補正後の合計値が一から最大三ほど、差が出てきている様であった。


 要因は、後々確認すると、豊の称号に【指導者】が追加されていたのだ。


【指導者】:称号

 他者に己の生きた経験を伝授する者。

願わくば、この世界が理想郷になる様に、との願いが込められた。フォルトゥナ世界【初めての称号】紡がれるのは血の絆だけにあらず、己が生き方を先の世代へと残し、未来に大いなる希望を生み出すもの。思想もまた、人を紡ぐ絆である。


 指導者及び、指導対象の能力値ステータスに各補正値がかかり、技能スキルの熟練度上昇率にも補正が掛かる。指導する側もまた、日夜の鍛錬を怠ってはならない。


 過保護で過酷なレベリングを繰り返す事、二時間。十匹目にして兄妹のレベルはようやく二になった。能力値ステータスは本来の倍以上伸びを見せ、クウェルは槍スキルを開花。イリスは魔術補助スキルを開花させた。


【槍さばき】

 ひとつひとつの動作に隙がなくなる。

熟練度により上位スキルに成長する。


【発動短縮】

 口が回る事によって魔術詠唱が早くなり、熟練度が上がると、

最終的には無詠唱にまで成長する。


 次はクウェルに前衛を任せ、ウェルターリザードを足止めする間に、イリスが魔術で討伐する作戦へと、切り替えた。大盾で攻撃を防ぎながら、注意を引きつける事で、イリスが魔術を使う時間を稼ぐ。


 初めての本格戦闘で多少手間取ったが、発動したイリスの魔術は見事な破壊力を見せた。複数の風が、鋭利な刃物の様に相手に襲い掛かり、通過するのと同時にウェルターリザードはバラバラに崩れていく。まだ回数はこなせないが、クウェルが引きつけイリスが倒す作戦は、今後、兄妹の戦闘スタイルとなるだろう。


 この手順が確立した事で、ウェルターリザードは、上限の三十匹を討伐され、結果的にふたりのレベルは三となった。


 【レベル抑制ボーナス】によるレベルアップは、通常の二倍から三倍の密度があり、実質、レベル六から八に相当する実力がある。ふたりは一週間も経たないうちに、もうこの時点で一人前の冒険者と並べる実力を手に入れたのだ。


「毎回これくらいの間隔で救世主を育成出来たら、きっと二年後には救世主だらけになるかもしれないなぁ」


 とは言うものの、奴隷として長く生きたふたりの逆境が、成長を劇的に後押しする要素となったのだろう。今まで苦労した分の人生の時間を無駄にしない。創生の女神の優しさは、ちゃんとふたりには届いている。


 だが、今の状態は、単に筋力や感覚が成長しただけであり、実戦の経験を積んだわけではない。身体機能の向上だけでは、強敵を相対した時に、実力は発揮できないだろう。これからも育成を続け、立派な救世主となるべく奮闘は始まる。


 ウェルターリザードの討伐を見事果たし、報酬を受け取る豊。

結果として、パシリカ銀貨660枚の稼ぎになった。半分を経費とし、残った半分を兄妹の今後の為に貯蓄させた。


「ユタカ様、俺たちはあなたに仕える身であります。銀貨はユタカ様がお持ちになるべきかと」


「ユタカ……様……! こんなに……受け取れま、せん」


 兄妹の考えは最もだ。既にふたりには装備、雑貨、宿など、かなりの金銭が使われている。それ故に、報酬を受け取るのは気がひけるのだろう。


「僕の計画は、君たちの人生を大きく縛るものだ、コレは正当な報酬だよ。今後の活動費も含まれているから、よく考えて使う様にしてくれ」


 クウェルもイリスも商人の下働きをしていた。文字もある程度読めるし、銀貨の価値もわかる。ふたりは豊の期待を受け、謹んで報酬を受け取った。


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