第二話『トゥラン』
中央大陸は人間が生活する大陸の中で最も大きな大陸であり、その名の通り九大陸の中心を成す。
北大陸、北東大陸、東大陸、南東大陸、南大陸、南西大陸、西大陸、北西大陸、そして中央大陸の九つだ。
四百年ほど前に北西大陸から出発して東大陸を突き抜けて、北東大陸を通って西大陸に至り、その後に再び北西大陸へと帰還したとある航海者が存在することから、この星はどうも球状らしい、という結論が成されていた。人類が善悪に分かたれる前はどうだったかを知るすべはないが、少なくとも、今現在の世界ではこれらが事実である。
各大陸は各々独自の文化が根付いているが、中央大陸はそれらすべての、文化・技術・人口、あらゆる面で世界の中心となる。街を行けば西大陸の岩塩を売る店の隣には、北東大陸の都市部で使われているという『刀』なる武器を売る店がある。教会に関連する建造物も、世界で最も多い大陸だろう。
だがそれは、偶然による繁栄ではない。むしろその逆――意図的な、それも、綱渡りの繁栄だ。
中央大陸には、『樹海』と呼ばれる『生きた森』や、『迷宮』と呼ばれるダンジョンが多数存在する。禍々しいその名の通り、これらは全て、『異郷』と呼ばれる別世界と繋がる門の役割を成していた。
異郷。
それは、読んで字のごとくこの世界に非ざる場所。そして、この世界と鏡合わせとなった、『もう一つのこの世界』。
かつて人類が思想から二つの勢力に分裂した際のこと。
『聖霊』が力を貸した勢力は、後に善の勢力――『善性存在』となった。
対して、『悪魔』が力を貸した勢力もあった。それが悪の勢力――『悪性存在』である。
戦いは世界を真っ二つに引き裂き、半分はこの九大陸世界へ。もう一つは『異界』と成った。
つまり、異界はいうなれば双子の兄弟――そして、悪性存在達の居場所なのである。
もうお分かりだろう。この悪性存在の世界とつながる門を多数有する、ということは――即ちは、悪性存在が発生しやすい、ということなのだ。
善性存在が悪性存在の世界に紛れ込むことは殆どない(教会ではこれを「聖霊が人類に、邪悪に墜ちないよう施した加護によるもの」だとか言っているが、シュウは偶然、というか、門の性質が違うのではないか、と思っている。現に、全くのゼロ、というわけではないらしいからだ)。だが、悪性存在が善性存在の世界に攻め込んでくることは、往々にしてある。
そんないわば『はぐれ魔物』のよりどころとなるのが樹海であり、迷宮なのだ。これらが多いということは、悪性存在を撃退するための勢力もまた、大量に備えなくてはならない、ということを意味する。
だからこそ、法術師育成学園は中央大陸に存在するのであって、近辺に多数の樹海や迷宮を抱えているのだが――
「……妙ですね。今日は、あまり魔物の類を見かけません」
樹海の中にあって、今日は『異常』と言ってよかった。
マイヤが呟いた言葉は真実だ。シュウとマイヤは既に二時間近く樹海に籠っているが、普段ならばこの間に百体ばかりの魔物と遭遇・戦闘を行う。シュウの種火が尽きるのは、(もちろん、全ての戦闘で使うならば、の話だが)大抵が樹海入りから一時間ばかり経ったあたりだ。種火が尽きた後はほぼマイヤに頼り切りの戦闘になる。
だが、今日はそれよりも一時間も遅い。それは即ち逆説的に、遭遇した魔物の数が普段の約二分の一で在ることを示す。だからこそ「まだいける」と調子に乗って屍鬼を追いかけた結果、結局マイヤに助けられるハメになったのだが……。
「大型の魔物がいる、とか?」
「気配はないですけど……あり得ますね。先輩は私から離れないでください」
「分かった」
さっきまでの独断先行をまだ根に持っているのか、少々ジト目気味にこちらを見てくるマイヤに、シュウは苦笑する。彼女の言葉通り、少しだけ距離を詰めた。
実際、大型魔物と遭遇したならば、シュウができることは『全く』と言っていいほど無い。火力が足りない。耐久力が足りない。敏捷が足りない。持久力が足りない。勿論、サイズも。あらゆる面で大型魔物に追いつけないのだ。
一方マイヤは、その法術――『武装型アールマティ』を以て、大型魔物ですらものの数分で撃退することができる。
法術は、善性存在の切り札。聖霊の一柱、ティスティアが人間に授けた、悪性存在に対する鬼札である。
その出力から展開型、武装型、顕現型に拡張されていくそれは、使う人間の善なる業を、その人間の信じる『正義』を型として流し込み、形にする術。どの法術も、その『正義』と性質の似た聖霊の名を冠している。
展開型は、純粋に正義をエネルギーとして発射する、波動型の術。
武装型は、正義を具現化させて、武器にする術。
そして顕現型は、その法術に名を貸した聖霊の分御霊を顕現させる、最上の術。
学園に通う多くの法術師が展開型の使い手だ。第一段階とも呼ばれるこの状態は、法術を使える人間ならば誰でも使うことができる。
マイヤはその一歩先。実際に教会の司祭として活動する法術師たちと同じ、一人前の証――武装型の法術を有する。武装型の域に達すれば、法術によって形成された正義の結晶たる武装だけではなく、奥義と呼ばれる特殊な術式がいくつも使えるようになる。マイヤの使用した『光輝女神の眼差し』もまた、彼女の『武装型アールマティ』が奥義の一つだ。
シュウのクラスメイトに武装型に辿り着いた法術師はいない。これを考えれば、マイヤがどれだけ強力な法術師なのかが分かる。彼女と組めて本当に良かった、と思う反面、そんな彼女と組んでいるにも関わらず、展開型の法術すら使えない自分を少々情けなく感じる。
因みに顕現型の法術を使用できる人間は非常に少ない。シュウが知っている限りでは二人――その内片方に至っては、その姿を見た事すらなかった。
いったいそこまでの領域に至るならば、どのような景色が見えるのだろう、と、シュウはいつも思う。二人の顕現型到達者の内、片方はシュウと同じく、教会の掲げる『正義』に疑問を持っていることを知っている。けれども彼女は、シュウと違って法術を顕現させ、最上位の力を手に入れているのだ。対してシュウはと言えば、法術を使うことも、さりとて魔術を扱うこともできず、後輩に迷惑をかけてばかり――
「ちょっと歩き疲れてきましたね……あ、水の音が聞こえます。休憩しませんか」
「ああ、そうしよう」
だから彼女の願いにはできるだけ答えてやりたい。
勿論、奴隷や召し使いの様に、盲目に従う、というわけではないが、そう、例えば今のように、休憩したいという些細な願望なら、何でも叶えよう。
マイヤの言ったとおりに水の音が聞こえる。すぐに、湖が見えてきた。
「わぁ……っ」
「ほう……樹海の中にこんなに綺麗な湖があるのか……」
湖の水は大変澄んでいて、とても悪性存在に溢れるダンジョンの中とは思えない。
とはいえ、というか、だからこそ、というか。ダンジョンの中なのだから、魔物の類いが潜んでいても不思議ではない。特に今日は魔物の数が少なく、大型魔物がいる可能性まである訳だから。
とはいえ。
「では、私は水浴びをしてきますので。覗いたら射ちますよ」
茂みを掻き分けて向こう側に行く少女に、そんな心配は要らないのだろうが。大型魔物さえ容易く駆逐するような娘だ。
「安心してくれ。マイの裸を覗いたりなんてしないよ」
シュウは苦笑してそう返す。そもそも女性の裸体を進んで覗く、ということに対する利点が感じられない。覗いた者と覗かれた者の間にあった信頼関係を、ただ悪戯に傷つけ、破壊するだけである。そんな不利益を被ってまで冒険をする必要はない。
だからそう言ったのだが。
「……私の裸なんて興味ないですか。そうですか……」
「……?」
マイヤは何が気に入らなかったのか、少し不機嫌そうに何やら呟く。よく聞こえない。何でもないです、とますますへそを曲げて、マイヤは茂みの向こうに行ってしまった。
……もしかして覗いて欲しかったのだろうか。いや、そんなわけはあるまい。では何が原因なのか。しかしてそれもわからない。
「……女性の考えていることは理解できそうにないな……」
シュウは頭を抱える他なかった。
***
(はぁ……)
マイヤ・フィルドゥシーは心の中でため息をつきながら、その白い法衣に手をかけた。薄い純白のストール――一学年主席の証である『クスティ』を取り外し、草むらに放る。法術を繰り出すにあたって様々な恩恵を授けてくれる、一年生どころか学園中から憧れの的であるその一枚の布を、しかしマイヤは相当無造作に扱った。
(こんなものがあっても……)
もう一度、心の中でため息。
体を覆う、上着とスカートが一体化した法衣を脱ぎ捨てる。下着を外し、彼女は湖に向かって歩き始めた。
己の体を見下ろす。無駄のないように、しかし筋肉が付きすぎないように、適度に鍛えたその肉体は、すらりとしていて、自分の肢体ながら決して悪くはないと思う。胸はどちらかというと控えめな方だが、全くないわけではないし、年齢の平均程度には育っている。
けれども。
(私の裸に興味なんてない、か……)
思い出すのは、先ほどのシュウの言葉だ。
シュウがそういうことに興味がない人間である、というのはよく知っている。彼は生真面目だし、女性の裸体を見ることに精を出す、そこいらの男性とは違う。彼のそういう部分が、なんというか、こう、魅力的なのだが。
なのだが。
(私、魅力ないのかなぁ……)
ここまで完全に無反応だと、少し自信を喪失してしまう。
自慢ではないが、マイヤは自分の容姿が決して粗悪なものではない、と思っている。容姿の美醜というモノをあまり気にしては来なかったが、ここ最近は多少は気を使って手入れをしているつもりだ。
特に髪。深い青色の髪は両親のもの、故郷の友人たちのもの、そのどれとも異なっている。それ故に、少々コンプレックスだったのだ。
——シュウが、その色を褒めてくれるまでは。
思い返すのは出会ってからしばらくたった後のこと。二人で樹海の攻略をしていた際に、朝、適当に髪をまとめたマイヤに、シュウは言ったのだ。
「勿体無いな……折角綺麗な色をしているのに」
「マイの髪は海の色だ。俺が十七年の人生で見てきた中で、最も綺麗だと思っている海の色と、よく似ている」
海。
シュウは、遠い北東大陸の出身だ。そこから、海を渡って中央大陸までやってきた。マイヤは生まれも育ちも中央大陸なので、海を見たことは無い。
無い、けれど——あの、美醜に頓着しないシュウが「美しい」と言ったのだから、きっと。
とても、綺麗なんだろうな、と思って。
マイヤはそれから、己の髪を大事にしている。それとなくシュウに長い髪と短い髪のどちらが好みか問うて、それに合わせた事もある。ちなみにシュウは三日ほど悩んだ末に、覚悟を決めたかのような硬い表情で、「……長い髪の方が、好きだ」と言った。以来マイヤは、首筋で結びこそすれ髪を伸ばし続けており、現在は腰ほどまでもある。
その長い髪を傷つけないように、慎重に湖に手を入れる。気配の有無から悪性存在が潜んでいないことはわかっているため、警戒心は少し緩めて。
ちゃぷり、と音を立てて水をすくい上げ、体にかけた。
ひんやりとした水の感触が、マイヤの熱く火照った体を冷やしていく。
しかし同時に、マイヤの思考はぼんやりとしていき、一つのことに集約した。
(先輩は……私のこと、どう思ってるのかな……)
いつも感じている、その漠然とした不安にだ。
嫌われてはいないと思う。むしろ大切にされいる、という自覚はある。
シュウは己の力不足を嘆いて、どこかマイヤに遠慮している所があった。法術が使えず、悪性存在の討伐速度も遅いが故に、結局のところいつもマイヤの手を煩わせている、と思っているのだろう。マイヤとしてはシュウが法術を使えないことを恨んだことは無いし、彼が戦えない分、自分がより多く戦うことを苦痛に思ってもいない。
むしろ――むしろ、嬉しいとさえ思っている。
マイヤにとって、シュウの役に立てる、というのは無上の喜びだ。
大好きな『先輩』のために、何かしてあげられる、というのは。
そうとも——ああ、そうとも。マイヤ・フィルドゥシーは、シュウ・フェリドゥーンという少年に恋をしている。
いつからかは分からない。気が付いたら学園内ですぐに目で追うようになっていたし、一緒に行動するだけで胸がどきどきするようになっていた。
こんな感情を抱くのは生まれて初めてなので、理解が及ばず、シュウと自分を引き合わせた張本人である学園長に馬鹿正直に報告してしまったこともある。あの時学園長は大笑いし、
「フィルドゥシー、それはな、『恋』というものだよ。いくら堅物のお前でも、恋愛感情という概念くらいは知っているだろう?」
と教えてくれたのだが、以来その件でマイヤをからかってくるため、少しだけ苦手にしている。どうにも彼女は、自分のことをからかいがいのある人物とみているらしい。学園長に相談したのは失敗だった、と今でも後悔してやまない。
それでも――それでも、感謝している。彼女がいなければ、シュウと出逢うことは無かった。この甘く切ない感情を抱くこともなく、一生を無感動のままに終わらせていた可能性さえある。
(先輩――すきです。だいすきです……)
口に出すのは恥ずかしくて。でも、心の中ではつい口にしてしまう。
天才ともてはやされて、あらゆることができて当然だった幼少期。初等部、中等部と上がってきた法術師育成学園の道のりも、まるでマイヤの心を動かすことは無かった。
けれど——けれど、シュウとの出会いが、初めて彼女に人らしい感情を与えた。弱くて、頼りなくて、でもこちらが不安になるくらい純粋で、優しい彼。
護ってあげたい、と強く思う。
同時に、弱い自分の心を護って欲しい、とも思う。
照れ隠しのために酷いことをいつも言ってしまう。嫌な後輩だ、と嫌われてしまったらどうしよう、と、その度に不安になってしまう。本当はいっぱい甘やかして、いっぱい甘えさせてもらいたい――そんな願望を、常に抱いて止まない。
依存するのはいけない、とは分かっている。けれども、そうしてしまうほどに、マイヤの心にとって、シュウという人間の占める割合は非常に大きいのだ。
彼と出逢わなければ、こうして、森の木々や、湖の水の匂いに、心躍らせるようなこともなく――
(……?)
——ふと、そこで。
マイヤは、違和感のある匂いを受け取った。
木の匂いではない。土の匂いでもない。水の匂いでも、動物の生活臭でもない。そんな通常よりはるかに禍々しく、『異常』な匂い。
——鉄分の匂いだ。正しくは、そう——血液の、匂い。
マイヤほどの法術師ともなると、法術の発動によって意図的に五感や身体能力を引き上げることができる。彼女の『武装型アールマティ』は出力が高いため、その血の持ち主がどのような種族なのか、はっきりと知ることができた。
間違いなく、これは、人の血の匂いだ。
湖は『8』を描くような形状をしており、向こう側とこちら側は狭まっており、そこを木の根が天然の柵として遮っている。
——その柵に、一人の人間が引っかかっているのを、マイヤは見た。
「なっ――」
それは少女だった。美しい銀髪をした彼女は、その瞳を閉じてぐったりと根に寄りかかっていた。何か炎のようなもので焼かれたかのように衣服はボロボロになっており、ほとんど肌が露出している。その体には無数の傷があり、そこから今なお血がにじんでいるではないか。
慌てて少女に近づく。よく注意して見れば、こちらがはっとするような美少女であることが分かった。全体的に薄汚れてはいるものの、恐らくきちんと綺麗にすれば、道行く人の誰もを虜にするほどに、壮絶な可憐さを持った娘になるに違いない。
その星屑のごとき銀色の髪を隠すかのように、彼女の頭には黒いベールが被せられていた。
「大丈夫ですか‼」
マイヤは少女を抱き上げる。彼女の腕力は前述の通り法術によって強化されているため、彼女の肉体を抱えるのは造作は無い。しかし――それを加味しても軽い。あまりにも軽い。それに細い。扱いを間違えば砕けてしまう、まるでガラス細工の様――
――ふわり。
途端、少女の顔を覆っていた黒いベールが外れ、水面に落下した。その下から現れたのは、水晶のような、緩く湾曲した、『角』。
マイヤは己の背筋が凍るのを感じた。なぜならばそれは、この少女が、マイヤやシュウとは違う人間であることを示していたからだ。
「この娘……まさか、『魔族』……!?」
マイヤの喉から、悲鳴が漏れる。
『魔族』。
それは、マイヤやシュウたち『人族』と対を成す、もう一つの『人類』。古の戦争で分割された二つの世界、その『異界』側で生きることを決めた人々の末裔。即ち——
——人にして、『悪性存在』に属する存在。
悪性存在達に力を与える『悪魔』達。その加護を一身に受けた存在。
教会が『人類の裏切者』として、甲種討伐対象――『発見次第即時殺害』を推奨する、『最強の悪性存在』である。
「どうした、マイ!!」
マイヤの悲鳴を聞きつけたのか。シュウが草むらを書き分けて姿を見せる。その表情は彼にしてはひどく青ざめていて、焦っていることを示していた。
自分を心配してくれているのだ、と思うと、マイヤの心臓はこんな状況にあるというのに、少しだけ嬉しさに鼓動の速度を上げてしまう。が、今は本当にそれどころではない。
魔族は他の悪性存在と一線を画す強さを持つ。マイヤですら一人で戦うには全力を出さなければなるまい。ましてやシュウなど、余波だけで殺されてしまっても不思議ではないのだ。
というか、魔族の少女の危険性以前の問題として、そもそも今、自分は裸で、この少女も殆ど裸のようなもので——
「せ、先輩!? 来ないでください!」
思わず悲鳴を上げてしまう。シュウが至って真面目に、本当に善意でマイヤのもとに駆け付けてくれている、というのはよく分かる。
分かるのだが。できれば来てほしくない。色々とまずい。
しかし真面目なシュウはマイヤの意思よりも安全確認を優先してしまった。彼はマイヤの姿を探してしばし視線を惑わせつつ、マイヤの拒絶に反論する。
「そんなことを言っている場合か! 君が悲鳴を上げるくらいだ、一体何、が、…………」
……と。
彼の動きと口が、ぴたりと止まった。視線はマイヤと、魔族の少女の方に向けられている。彼は一瞬呆けたような表情をとった後に、凄まじい勢いで背を向けた。
「す、すすすすすまないッ! わざとでは無いんだっ、マイのことが心配で——」
わかっている。そんなことはわかっている。けれどマイヤとしては、本当はもっと、こう、なんというか、ロマンチックなシチュエーションで見せたかった裸体を見られてしまったわけで。ついでに、自分以外の女性の裸(正しくはほぼ裸、だが)も見られたわけで。
マイヤはつい、羞恥心と嫉妬に、心無い言葉でシュウを罵ってしまうのであった。
「……先輩最低です」
「ぐあっ!?」
彼がどんな悪性存在との戦闘でも上げないような悲鳴を上げて膝をつく。
「……理不尽だ……」
その口から、この世の終わりのような悲痛な声が漏れた。
基本的には4500文字前後ですが、この話とあと一話、起編では例外的に妙に長い話があります。区切る場所がなかったからですねー……
明日の18時更新の第三話は短いです。
では、お読みいただきありがとうございました。