7/36
月光の街7
「分かったよ、母さん、僕は死なないから、心配しないで。母さん…」とヒロは母に語りかけた。
殴られ、蹴られて意識が遠退く中、ヒロはそのまま満月の心の時深く懐に抱かれ、ベッドに横たわった。
そのベッドの温もりが母の手の温もりとなってヒロに語りかける。
「ヒロ、満月の温かさを持った心の持ち主など、この世にはいないのだよ。ヒロ、母さんでさえ、本当のお前の苦しみは分からないのだから、ヒロ…」
時おり母の声が自分の心を殴っていると感じ、何処か遠くで痛みを感じるのだが、ヒロは切なくその痛みを振り払い、優しい口調で母に語りかける。
「母さん、今母さんに語りかけられても、それは僕の満月さんに対する失恋になってしまうから、心が痛くなってしまうので、母さん、今は満月の優しい声で語りかけるのは止めてくれる。母さん、お願いだから…」
母が白く染まるヒロの心を支える月光の温もりとなり相槌を打ってから答える。
「ヒロ、満月さんに殺されて、けして死んでは駄目よ、ヒロ、お願いだから死なないで、母さんの許に戻って来て頂戴、ヒロ…」
ヒロが遠い痛みに涙ぐみながら答える。
「分かったよ、母さん、僕は死なないから、心配しないで。母さん…」




