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月のポエム  作者: 岩本翔
28/36

月光の街28

「そう、獰猛そのもののアライグマと角度が問題なのよ。それだけかしら」とキャサリンは言った。

満月の遮光がペダルを踏み、その軋む音に牽引されるようにヒロの自転車は走り、隣町のクラブムーンライトの前に着いた。





早速満月を指名し、ヒロが待機していると、キャサリンがおもむろに現れ、物申した。





「今日は私が満月のピンチヒッターなのよ。さて、君は狂気の中に正気をどのように見出だしたのかを知る為に、本日は来たのね?」




ヒロが訝り尋ねる。





「キャサリンさんは何故それが分かるのですか。マスターを知っているのですか?」





キャサリンが首を傾げ簡単に言って退ける。




「マスターなんか知らないわ。と言うか私は君が求めている満月の愛そのものだから、君の心が手に取るように読めるのよ。分かるでしょう?」




ヒロが彫像の如く居住まいを正してから、おもむろに頷き答える。




「だから僕が狂気の中で正気を見出だした、その方便をキャサリンさんは千里眼で見透かして、僕を解放したのですか?」





「ピンポン、その通りよ。天空に浮かぶ満月の愛そのものの私ならば、そんな事は朝飯前なのよ」




ヒロがすかさず尋ねる。





「ならば教えて下さい。僕はどうやって狂気の中で正気を見出だしたのですか?」





毒婦そのもののキャサリンがほくそ笑み答える。





「この街の外れに大きな森があるのよ。月夜に、そこに独楽を持って行き、回せば、きっと君の疑問は解けると思うわ」





「満月の月夜に森に行って独楽を回せば、大罪、静止画像の満月、逆回転する独楽の謎解きを解き、僕が狂気の中で正気を見出だした方便が分かり、僕は玩具の街に行けるのですか?」





キャサリンが頷き言った。





「そうね。難しく考えず、あの森に出没する狂暴なアライグマを蹴散らして、角度の良いところで満月の下、独楽でも回せば分かるのよ」





「狂暴なアライグマと、満月に対する角度が問題なのですか?」





キャサリンが己の毒を隠すように笑窪を作り微笑んでから答える。




「そう、獰猛そのもののアライグマと角度が問題なのよ。それだけかしら」

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