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月のポエム  作者: 岩本翔
26/36

月光の街26

(残念ながら、君は狂気の内にある正気を見出だしたので、私達は賭けに負け君を解放するわ)とキャサリンはヒロを解放した。

眠れないままにヒロは眼の前に展開する満月の静止画像に己の心を何とか垂直落下させ、逆回転する独楽の内に眠りを見出だそうとするが、出来ない。





すると「崇高なる殺人ゲームを破壊した大罪」というキャサリンの声が独楽の逆回転を静止させ、ヒロは己の苦悶の涙の内に、眼を見開いたまま刹那眠りを貪った。





「ああ、自分はこのまま死ぬのだな」と思った次の瞬間、垂直落下する静止画像の満月から母の「死なないで、ヒロ」という励ましの声が聞こえ、ヒロの心は一粒の涙となって滴り、風に吹かれ、流されて行く。





そして静止画像の拳銃に眼を撃ち抜かれるというその恐怖が天空をそよぐ風となって、己の瞬間的な惰眠を流して行った。





不意に、その風が止み、ヒロの心は撃たれた心臓の生無き脈動のままに凍結して静止し、その氷の眼差しを天空に浮かぶ、真っ赤な満月に注ぎ、その赤い血潮のような光の中に象形文字の如く呪文をそぞろ読み取った。





「ああ、自分は死んでいるのだな」と遠く円錐の思考の淵で、吹く風に塗れるように考えつつ、ヒロは読めない筈のその天空に浮かぶ浮輪としての呪文に流され、苦痛しか齎さない拘束衣から解放され、見知らぬ土地にあるベンチの上で眼を覚ました。




そしてヒロの持つ携帯電話のメールにキャサリンからの一報が為され、ヒロはそれを読んだ。





その内容は(残念ながら、君は狂気の内にある正気を見出だしたので、私達は賭けに負け君を解放するわ)と書かれていた。




ヒロは自分がどのようにして、狂気の中にある正気を見出だしたのかをじっと考えるが、分からないままに、ベンチから立ち上がって歩き出した。

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