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月のポエム  作者: 岩本翔
23/36

月光の街23

己の狂気を悟られないようにヒロは抑揚の無い声で答える。

キャサリンの言葉通り眠ろうとすると、拘束衣に電流が走り全身を針のように刺して来て眠れない。




それは取りも直さず、何処かに暗視カメラが内蔵されており、自分の表情を細部に渡り監視している事に繋がるのだが、その暗視カメラが何処にあるのかヒロには判別出来なかった。





眠りと強制的な覚醒を繰り返している苦痛の内にヒロは自分が直視している満月の静止画像に、拳銃で撃たれるという錯覚を抱き始めた。





満月が光る拳銃になり、暗視カメラの逆回転する独楽の弾丸になって自分を狙っているという妄想にかられ、ヒロは堪らず恐怖の叫び声を上げた。





すると見張りの男が入って来て尋ねる。





「何だ、トイレか?」




ヒロは息を吐き出し、その妄想を口にはださず何とか返事をする。




「はい、トイレです。すいません」





見張り役が顔をしかめ大上段に尋ねる。





「大か小か、どっちだ?!」





己の狂気を悟られないようにヒロは抑揚の無い声で答える。




「両方です。すいません…」

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