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愛を囁く宵に、別れは訪れる~愛、故に起こる悲劇

今日も夜が訪れる。私の部屋で星を眺める彼の顔。ずっと見ていたい。



「ねぇ、スティニス。……私の病気のこと、全て知っていたのね。」


「生まれる前から、知っている。母が死んだのも、その病だった。」



彼は色々なことを話してくれた。いつもの昔話……。彼が私を守るために生まれたこと、私と恋に落ちたこと……。


「……フォーリィ、俺は旅に出る。」



いきなり言われた言葉。戸惑いを隠せない。


「格好が悪いことに、覚悟が鈍った。お前を喪うのが怖い、と思う。」


「私も、怖いわ。病気よりも、貴方と会えなくなるのが怖いわ。もう、会えなくなるのではないかと怖くなるのですわ。」



彼女を抱き締めると、ふわりと太陽の香りがする。恋に落ちて、近くにいればいるほど起こると解っていた悲劇。それでも近くにいたいと望み、此処にいる。……その選択を後悔するなど、今更(いまさら)、何を言うのだ、俺は……。


「……ねぇ、スティニス。お願いを聞いて……?」



最後に貴方のキスが欲しい……。


(…貴方が旅に出るのが嘘だったら良かったのに)


(切なげに見つめるお前……。出来れば、この手を離したくない。…許せ、フォーリィ。)


重ね合う唇は深く、甘く。頭の中が電流で痺れて、体の力が抜けてしまうくらい。二人、求め合うことが痛いほどに。


「ありがとう、スティニス。必ず……。」


(必ず、戻って来て…)



「お前を死なせたりしない。今みたいに、泣かせはするがな。」



帰ってきたら、話の続きを聞かせよう。彼はそう言って笑った。

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