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狂乱
「俺を殺せ……。」
「いいさ。手合わせしてあげようじゃないか。」
怪力の天才剣士、ゼディリア。俺の師匠で、姉御肌だ。
「で……?あたしはアンタが殺せと言った理由を、きっちり聞きたいんだけど、ね!」
剣が弾かれる音。やはり、強い。地面に突き刺さったモノを引き抜き、構えて踏み出す。
「覚悟が、鈍った。……愛しい人の傍にいるのが、怖くなった!」
「それだけかい?どれだけ格好悪くても、一度決めたことは貫きな!」
腹の急所に一発、拳が入った。
「殺してくれよ……」
倒れた彼を抱き上げる。
「……ったく。母親に向かって『殺せ』なんてね。インルビン……アンタならどう思う?」
彼がフォーリアを守り続けてきたことは知っている。でも、少し守れなくなっただけで狂うならば……
「お疲れ様、スティニス。無意識に委ねて、ゆっくりお休み。」
今だけは、楽に。