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気になる気持ちは止められない!  作者: 空橋 駆
4章 世間は狭いよ本当に side:小織
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10話 三年ぶりの再会へ

※またまた女の子視点へ。今回は3章からそのまま続いています

今日もいつもと同じように、お昼を済ませて教室でのんびりとしていた。

藤山君に会いたいけど、昼は忙しいと聞いていたので……

我慢する事しか、できなかった。


「う~ん……」

「どうしたの、小織。

 また、藤山の事でも考えてたの?」

「ん……それは……」


その通りだけど、素直に返事をするつもりは無かった。

何か色々と突っ込んで聞かれてご飯を食べる時間が無くなりそうだし……


「実は、さっきから三年生の三野さんが小織の事を呼んでいるけど……

 なにか、やらかしたの?」

「ええっ?

 わたし、心当たりなんか無いよ?」


でも、その苗字には聞き覚えがあるというか……


「それより、本当に三野さんって人なの?」

「うん、結構この学校では名の知られた人だよ……

 小織はあんまり詳しくないから、知らない?」


有名かどうかは知らないけど……

少し珍しいので、聞いた事のある苗字。


多分、その人はわたしの知っている人……


「行ってくる」

「え、ちょっと、待って小織……」


心配なのか、後ろから釉もついてきた。

教室から出ると、そこにいた。


「榎木さん、連れてきました。

 それで何か用件でも……」


釉が警戒心をむき出しにしていた。

だけどわたしは、その後ろでその女の人の事をしっかりと見ていた。


やっぱり、この人……

あの時から顔はあまり変わってないからすぐに誰か判った。


「あさおねーさんっ!」

「やっぱり、小織ちゃんだったんだね。元気にしてた?」

「はい、そちらこそお変わりありませんか?」

「色々あったけど、何とか平穏な毎日になりました。

 そのお陰でちょっと有名になっちゃったのが辛いけどね」


笑顔でわたしはあさおねーさんに抱きついた。

ぎゅっと、抱きしめられる。

これ、うん、とっても懐かしい……

昔からこんな感じだったよね。


「え……あ……あれ?

 し、知り合い?」

「あさおねーさんは、中学時代にとってもお世話になった先輩だよ。

 覚えてないかな?」

「あんまり記憶に無いなぁ……」


釉が首を傾げていたけど、間違いなく会った事があるはず。


「釉も一緒の学校だったから知らないはずは無いと思うよ。

 紹介した覚え、あるし」

「仲良くしてた、あの美人な先輩さん……

 うん、ぼんやりだけどそんな人が居たような気がする」


それでも、二年前の事だから全員揃ってあまり覚えていないのかもしれない。

一応顔を知っている相手であるのには違いないので、

釉はそろそろわたしの前から少し離れて……


「沖本さんだね、お久しぶり」

「お、お久しぶりです?」


何か疑問系になりながら、釉が答えている。

あさおねーさんの方は、釉の事をちゃんと覚えていた。


「とりあえず、小織ちゃんとお話させて」

「あ、すみません……退きますね」


そそくさとわたしの前から退いていた。


「まさか本当に再会できるなんて思わなかった……

 あさおねーさんが行った学校って聞いたから、

 この学校に進学したんですよ!」

「そうだったの。

 そう言ってくれると、私も嬉しいなぁ……」

「でも、どうしてわたしが居るって知ったのですか?」

「それは……

 こんな場所で言うのはちょっと、勘弁してほしいな」


あさおねーさんは、口を濁した。

色々と聞かれると困るのかな、それとも……


「でも、間違いなく二人とも知ってる人から情報を貰ったの。

 小織ちゃんの場合、更に驚く事になるかもしれないけど……

 今日はちょっと時間が無いから、また後日話そうね」

「はい、いつでも待ってます!」


そう言うと、あさはおねーさんは帰っていった。

わたしも、教室の中へと戻った。



教室の中に戻ると、すぐに釉に問い詰められる。


「ところで……

 あの人、一体誰なの?

 ぼんやりと思い出せるけど、何か上手く繋がらない」


わたしとあさはおねーさんの会話について来れず、

呆気に取られていたのだけど……


「だから、同じ中学校出身の……

 わたしと同じ部活に所属していた先輩の人だよ」

「うん、それはさっき聞いた」

「それなら、何が知りたいの?」

「えっと……」


耳元に近付かれ、小声で問いかけられる。


「印象が、まるで違うよ……

 あんなに美人さんだったっけ?」

「ん……」


実はわたしも、同じことを考えていた。

名前と顔があまり変わっていないとは思ったけど、

その他の部分は色々と変わった気がする。


「あの人、この三年の間に色々な事があったと考える方が普通かな。

 そうでなければあんなに有名になる事も無いと思うし……」


釉がちょっと気になることを言ったので、突っ込んでみる。


「その、ちょっと間の抜けたことを聞くけど……」


今聞かないときっと卒業まで……

知らないまま過ごしてしまう事になると思ったので、

釉にこっそりと聞いてみた。


「あさおねーさん、何で有名なの?」

「既に婚約者がいるからって噂が流れたの。

 本人も肯定したからそれで……」

「うーん……」


何か、本当にそれだけなのか怪しい。

それだけでそこまで噂になるのかな?


「そのお相手が同じ学校にいるから、

 噂が広がって有名になったとも言ってたような……」

「そうなの?」

「多分、そうみたい」


それなら、わたし達の学年にまで噂が流れるのも納得できる。

でも、先程ここに来た時は……


「あさおねーさん、一人でここに来てたよね」

「うん、それなんだけど……

 先日喫茶店で一緒に話した、藤山って覚えてるよね」


わたしと一緒に帰ってくれた、あの藤山くん。

知っている人では、彼以外に思い浮かばなかった。


「あの藤山のお兄さんが、三野さんの婚約者なの。

 この学校の三年生にいるから、兄弟揃って色々と有名になっているの」

「え?」


本当に、世間は狭い。

まさかそんな所から繋がっていくなんて……


「というかそれ、本当なの?

 いまいち信じられないんだけど……」

「うん、大体間違ってないって聞いてるよ」

「本当に、本当?」

「噂が間違いじゃなかったらね。

 でも、可能性としてはほぼ間違いないと思うよ」


つまり、わたしの片想いの相手も、

昔お世話になったあさおねーさんも含めて、

色々と名の知られていた人だった。


そして、あさおねーさんが言ってた情報元って間違いなく……


「あさおねーさんにわたしの事教えたの、

 ここまで来ると思い当たるのは……」

「予想通りだと思うよ。

 というか、小織はそれ以外の人知らないよね?」

「釉も知らないよね……

 あさおねーさんの事を覚えてないくらいだし」

「そうだよね……」


つまり、藤山くんしかいない。

藤山くんのお兄さんとあさおねーさんが恋人同士なら、

藤山くんとあさおねーさんが顔見知りでも不思議じゃない。


「この後、わたしはどうなるんだろう……」

「何か心配なのかな。心配事ならまた……」

「べ、別にいいよ……」


今回の場合、それが原因で心配事が更に深くなってしまったのだから。


(偶然が続きすぎて怖いと思うから、余計に……)


あの喫茶店で再会して、話を聞いた時から……

砕け散ったと思っていた初恋が蘇った。


そして先程、あさおねーさんと再会した。

あさおねーさんの恋人さんは、初恋の相手のお兄さん。

あさおねーさんにわたしの事を教えたのは、初恋の人。


ねえ、誰か教えて。


(これって、運命なのかな……)


信じたい気持ちと、違うと思う心が重なって……

わたしの頭の中は大混乱だった。

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